若い女とドンファン事件

日本での紀州ドンファン事件はどうもその後話を聞かなくなっているが、
テレビでアメリカであった似たような事件についての裁判を番組化していて興味深かった。

これはアメリカの大金持ちのお爺さん(70代)が、
妻に先立たれて独身を楽しんでいたら、
大勢の女性達が常に群がってきたと言う。

あるパーティで非常に魅力的な30代の女性と知り合い、
直ぐに家政婦として雇ったのだが、
女性の方からの強烈で巧みなアプローチがあり、
アッと言う間に妻となってしまう。

結果的にこの老人は銃で撃たれて殺されるのであるが、
裁判での容疑者が二転三転して興味深かった。

男は自宅の寝室で殺されていたのだが、
当時家にいた妻とその連れ子である娘は銃声が聞こえなかったと主張する。

最初は夫の暴力に怯えていた妻が激怒して殺した?とか、
妻の友人(女性)が妻とはレズ関係にあり、その夫に激怒して殺した?とか、
妻の派手な交遊関係にあった?とか、
夫側の娘が怪しいとか、連れ子が怪しいとか、色々言われていた。

最終的に、実はこの妻は非常に派手好きな挙句、
夫のお爺さんを虐待していたと言う。

そして実の娘が証言に立ち、有罪が確定する。

この種の事件は世間では物笑いの種として扱われてしまうが、
私は人間の本質的な行動を見事に現していると思っている。

若い妻と老いた夫の間での殺人事件。

この関係には財産が絡んでいるケースが非常に多い。

金はあるが既に老いている男と、金は無いが若く美貌に恵まれた女。

もちろん逆もまた成り立つ。

老いたけれど金はある女性と、金は無いが若く魅力的な男性との関係。

このような関係は、お互いの満たされない願いを見事に解消してくれる。

しかし、お互いの利害関係は一致するが、親和関係は絶対に一致しない悲劇。

このような関係の悲劇は何に理由があるのかと言うと、
人間の3大幸福の1つである「親和動機」を蔑ろにしているからだ。

親和動機とは「人が人と仲良くする時に得られる幸福感」のことであり、
実はこの親和動機を満たすのは非常に難しい。

何故なら「相手が要るから」だ。

相手に拒絶された場合、親和動機は成立しない。

男でも女でも財産があるから寄って来る人は、
全員、親和動機目当てではないと考えていい。

パワー動機(勝った時に得られる幸福感)目当てだ。

従って、いずれこのようなカップルは破綻する確率が非常に高くなる。

多くの金持ちが結婚と離婚を繰り返す仕組みはここにある。

恋愛や結婚をパワー動機で考えた場合、
失敗してしまう。

実際心理学の専門家は破綻する確率が高いことを指摘している。

その人と一緒にいて「快」なのか「不快」なのか。

そして相手はどう感じているのか。

この点を無視した恋愛や結婚はいずれ破綻する。

親和動機を満たすためには相手が必要・・・・・

この事実は人間が幸福になるのはとても難しい事を示唆している。

ところが、この親和動機を軽視する人は案外多い。

ドンファン事件は典型的な例と言える。

終わり


余談:

当ブログでは何度も書いている事だが念のため。

人間の3大幸福

・パワー動機(勝った時に得られる幸福感)

・達成動機(自分が本心からやりたい事をやってその目的を達成した時に得られる幸福感)

・親和動機(人が人と仲良くした時に得られる幸福感)

人間はこの3つの動機を≪適切に持って適切に満たす≫必要がある。

この「適切」と言うところが非常に難しい。

過剰に持ったり過少だったらもうアウト。

満たせなくてもアウト。

幸福とはかくも難しい。