日本刀について知っているようで知らない豆知識

歌舞伎や文楽、能、落語などの古典芸能を鑑賞していると、
何らかの形で頻繁に登場するのが刀です。

刀の知識なくして古典芸能を楽しむなど有り得ないと言ってもよいかと思います。

また、美術館や博物館で日本文化系の展示会に行くと刀がよく飾られています。

実は想像以上に気付いている人は少ないと思われるのですが、
どうぞ、先ずは展示方法を実際に写真でご覧下さい。

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違いが分かりますでしょうか?

刀の刃が上と下の場合がある展示の違いについてなのです。

何故なのか説明できますでしょうか?

実はこの展示方法には明確な意味があります。

日本刀には色々な種類がありますが、
ここでは「いわゆる日本刀」をイメージして下さい。

「いわゆる日本刀には2種類」あります。

「太刀」と「刀」です。

・「太刀」は刃を下にして飾るのが原則

・「刀」は刃を上にして飾るのが原則

↑これがその回答であります。

続いて解説です。

では何故そのように飾るのでしょうか?

「太刀」は平安時代に登場したもので、
主に「馬上戦」を目的に使用されたものです。

おおよそ60cm以上のものを太刀としています。

長い刃を馬上で振り回す訳ですから、
その携帯方法は腰から吊り下げる方式で、
抜いた時に自分を傷つけないように刃を下にしておりました。

この名残で現在でも「太刀」を展示する時は「刃を下に」が原則となっています。

これに対して「刀」は室町時代に登場したもので、
私達がイメージする「お侍さんが腰に差しているもの」です。

この「刀」は帯に差し、接近戦における居合抜きで一気に斬れるように、
「刃を上に向けて」携帯しておりました。

その名残で現在でも「刀」を展示する時は「刃を上に」を原則としているのであります。

以前、歌舞伎座人間国宝 尾上菊五郎が刀を鑑定する場面がありました。

イヤホンガイドの人が「正式な作法に則った刀鑑定をするのが見どころです」と解説してくれましたが、
なるほど、日本刀の世界は深い上に魅力的だなと思った次第であります。

古典芸能鑑賞と日本刀。

切っても切れない関係かと。

終わり



※ 掲載した日本刀の写真は移転前の「刀剣博物館」で撮影したものです。
通常は撮影不可なのですが、移転前と言うことで特別に撮影可だった時に撮ったものです。