若い女に騙されても1つの真実にすがる老いた男について

以前観た映画の内容を最近になって思い出している。

その映画の主人公は画商として大成功した老いた男だった。

持ち前の鑑識眼を活かしてオークションでは皆から一目置かれ、
巨万の富を築いていた。

独身で孤独な老いた男。

滅多なことでは人に心を開くことはない。

豪華な自宅で一人暮らしをしている。

秘密の部屋があり、そこにはオークションで自分が買った本物の素晴らしい絵画が壁中に飾ってある。

それを眺めるのがその男の楽しみだった。

そんな時、仕事の関係で1人の謎の女性と知り合う。

絵を売ろうとしている金持ちらしい依頼人だった。

しかし決して姿を見せようとはしない。

常にドア越しに話すだけ。

男はその女性が気になって気になって仕方がない。

ある日、こっそりと商談場所の彼女の家を去らずにいて姿を目撃するのに成功する。

若く美しい女性だった。

だんだんとその女性に惹かれてゆく老いた男。

結果的にその女性は心に大きな傷を抱えていて、
男と年齢差はあったが上手くいってしまい男女の仲になる。

その魅力的な若い女性は自分が東欧の出身で、
よく行っていたと言うカフェの話を楽しそうにしていた。

男はその女性と結婚しようと思い、
自宅に招く。

そして秘密のとっておきの部屋を見せる。

だが、次の日、自分の家に戻ってみると。

全ての財産が盗まれた後だった。

つまり、彼女も含めて全てが大掛かりな詐欺だったと知る。

全てを失ってしまった老いた男。

映画の最後でその老いた男は東欧へと旅立つ。

そして彼女が語っていたカフェを探し出して中に入る。

彼女の語ったたった1つの真実を知る。

そこで映画は終わっていた。

老いた男の気持ち。

痛いほど分かってしまう自分がちょっと悲しい。

終わり