星降る夜

[星降る夜]

数年前の8月12日夜、私は子供と一緒に、
標高2160mの白根山山頂近くの観望場所に行くため、
曲がりくねった山道を慎重に運転していた。

さすがに2000m級の山の夜は、
8月と言えども、寒い寒い。
毛布にくるまりながら自動車から降りた。

「うわーっ、天の川だっ!!凄い数の星だっ!!」
と子供が叫ぶ。
まさに[星降る夜]だ。

東京方面から離れる事約200km。
さすがにここまで来ると見事な星空を見ることが出来る。
首都圏の激烈な光害からは、
100km以上離れない限り逃れる事は出来ない。
よく行く丹沢のキャンプ場ですら天の川を見るのは難しい。

「織姫と彦星はどこ?」と聞かれるが、
数十個の星しか見ることの出来ない都心ならば、
「あれとあれ」と指差して即答できるが、
何千個もの星が輝く白根山では、
説明の仕方に苦慮してしまう。
私自身、久し振りの[星降る夜]に少し戸惑っている。

立ち上がった見事な夏の天の川。
そのすぐ下を流れ星が一つ流れた。
白→オレンジ→緑へと瞬間的に色を変えてゆく。
速くて明るい典型的なペルセウス座流星群の流れ星だ。
秒速約70km。
あまりにも速いので、願い事はとても叶いそうにない。

一般的に夜11:00を過ぎた頃から明け方までが、
流れ星観測の最適時間だ。
しかし、子連れだと完璧に無理な時間帯である。
10:30を過ぎたところで終わりとした。
1時間くらいの観測で5個の流れ星。
もう少し子供が大きくなってからまた来たいものです。

余談:
[流れ星の音]と[オーロラの音]

非常に珍しい現象で、
「流れ星の音」というのがある。

上空約100kmくらいのところで燃え尽きる流れ星が、
「シューーー」という音を出しながら流れる事がある。
実は私も一度だけ聞いた事がある。

よく考えると奇妙な現象だ。
ほぼ瞬間的に到達する光と、
秒速約340mに過ぎない音速。
約100kmの上空から耳に入るまで何分もの時間差がある。
でも確かに同時に見え、聞こえた。

ある天文学者がこういう解釈をしていた。
「報告事例が意外に多いので、
単なる聞き間違いとは思えない。
おそらく流れ星が流れる時、
ある種の電磁波が発生し、
それが偶然そばの木や自動車等に共鳴し、
シューーーという音になるのでは?」

なるほど、こう考えれば辻褄が合う。
学者とは大したものだ、と感心した。

これと同じように[オーロラの音]と言うのがあるそうだ。

少年時代からの残された最後の夢は、
「極大期のオーロラ」を見る事だけだ。
オーロラ爆発とも呼ばれる現象を見ながら、
そんな音も聞く事ができたら嬉しいものだ、と思っている。

それでは皆様ごきげんよう!!