あり得ない残酷なストーリー(笑)
古典芸能を鑑賞しておりますと、
時に信じられないくらい残酷なストーリーがあります。
今月の歌舞伎座(東京・東銀座)の昼の部に以下の演目を見つけてしまいました。
「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)」
通称「石切梶原(いしきりかじわら)」として知られています。
これ、ちょうど2年くらい前にも歌舞伎座で演じられた人気演目の1つではありますが。
初めて観たのは今から25年くらい前だったかと思います。
そしてその2年前にも観ました。
まあともかく、ドッカーンと驚く話です。
ストーリーは、主人公が平家の侍である梶原平三です。
剣の腕は最高です。
時代はちょうど源頼朝が平家を討つべく戦ったのですが、
失敗して一旦逃げて再び挙兵しようとしている時となります。
鶴岡八幡宮に梶原他、平家の侍がいます。
この時、憐れそうな父娘がやって来て、
金が要るのでどうしても刀を買って欲しいと言います。
梶原が刀を見ると素晴らしい名刀であるのが分かります。
ところが買おうとした梶原の知り合いは、
証明書がないからダメだと言います。
そして実際に斬ってみないと分からない、とも。
そこで昔あった習慣である、
囚人を2人重ねて刀で一気に斬り殺して刀の性能を調べる「二つ胴」を用意するのですが、
あいにく囚人は1人しかいません。
そこで憐れそうな父親は娘に、
「証明書は家にあるから取ってきておくれ」と言い、
娘は一旦家に戻って行きます。
するとここで父親は「二つ胴のもう1人を自分にしてくれ」と頼みます。
そして「刀のお金は戻って来た娘に渡してくれ」と。
こうして二つ胴の準備が出来たところで娘が戻って来てビックリ。
父親はこれから斬られようとしているのです。
刀を構える梶原平三。
泣き叫ぶ娘。
しかし梶原平三は刀を振り下ろします。
真っ二つになる囚人。
けれども父親までは斬れませんでした。
「ダメな刀だった」と梶原の仲間は去って行きます。
ガックリとする父娘。
ここで梶原は言います。
「刀を見て分かった。オマエは源氏の者だな。
実は私は今は平家についているが心は源氏にあるのだ。」と。
そして金は挙兵する源頼朝の軍資金のためにすると見抜いていたのです。
「この刀はオレが買う」と言い。
そこで最後の最後の山場。
刀で石で出来た手水鉢を真っ二つにするのであります。
なかなかどうして最後は感動的に終わります。
古典芸能鑑賞、こういうのがあるから止められません。(笑)
終わり