正義の難しさについて

最近、非常に考えさせられた本の内容があったのでご紹介したいと思います。

超読書家の同級生が薦める「なぜリベラルは敗け続けるのか」岡田憲治著(集英社インターナショナル)を読んでいます。

その中で「善と悪」について考えさせられるエピソードが書いてありました。

著者が小学生の時に体験した「オサムくん事件」と呼んでいる、
もう当時の関係者は誰も覚えていないであろう出来事らしいのですが。

それは給食の時間に突然起こったと言います。

同じ班で給食を食べていた時、1人の女子がシクシクと泣き出したらしいのです。

すると男子達が「どうしたんだよ?」と集まって来ました。

この時、ちょうど向かいの席にいたオサムくんが突如やって来て、
その女子のスカートに牛乳をぶっかけたのです。

大騒ぎになった教室。

直ぐに先生が駆け付けて「誰がやった?」と言うと、
皆が「オサムくんです」と答えました。

先生は激怒してオサムくんは給食抜きの挙句、昼休み中廊下に立たされていたそうです。

先生もその著者も含めて皆がオサムくんを何と酷いヤツだと思っていたそうです。

しかしその時、著者はその女子が叱られているオサムくんに対して何とも言えない視線を投げかけていたのに気付いたそうなのです。

その後、皆がオサムくんに対して酷いヤツだと言うレッテルを貼ったそうです。

けれども現在の著者はあの時の事件をよくよく思い返して、
どいつもこいつもボンクラだと言い切っています。

何故オサムくんは牛乳を女子にかけたのか???

その後の調べでは「お母さんの悪口を言ったから」と言うような言い訳しかしなかったそうなのです。

たった1人、著者だけが分かったそうなのです。

そもそも、最初に泣き出したのは女子であり、
特に口論していた訳ではありませんでした。

何故突然女子が泣いたのか?

間違いなく、その原因に一番早く気付いたのは向かいの席にいたオサムくんでした。

その女子はオシッコを漏らしていたのです。

このままだと大変な騒ぎになると思ったオサムくんはその女子のスカートに牛乳をかけることで守ってあげたのでした。

著者はその事実を皆に言いたいと思ったのですが、
言えばその女子の秘密を漏らしてしまうことになり、
せっかく女子を守り切ったオサムくんを裏切ることにもなります。

言いたくても言えない。

そして正義とはそんな簡単な事ではないのだ、
と大人になった現在の著者は、昨今の政治状況に絡めて発言しています。

この本は大変分かり易く上手く書かれていると思いますので、
改めて別に感想を記事にしたいと考えております。

なかなかのエピソードだと感じ入りました。

終わり