人種差別と「三匹の子豚」

昔、おそらくは私が幼稚園児だった頃、
童話「三匹の子豚」を読んだ。

この時、他の童話とは違って、
私は何とも言えない違和感があった。

とても納得できない感覚と言ってもよかった。

と言うのは、当時私が暮らしていたのは都心であったが、
レンガの家など全く無かったし、
それに似たような石やコンクリートの家もほとんど見掛けなかったからだ。

マンションはあったにせよ、
いずれにしても多くの人が暮らしているのは「木の家」だった。

もちろん私の暮らしていたのも「木の家」だ。

従ってこの童話からは教訓と言うよりは妙な罪悪感を植え付けられた気がした。

「オマエは悪い家に暮らしているのだ!!」と言うような。

とは言え、この童話は数多くの1つに過ぎなかったし、
成長と共に忘れ去っていた。

ところが成人してからあるお笑いマンガを読んでいた時のこと。
(残念ながら出典を忘れている)

「三匹の子豚の話は傲慢な白人の差別主義だ。
 藁の家とはアフリカ人(黒人)の家を指し、
 木の家とは東洋人(黄色人種)の家を指す。
 自分達(白人)のレンガやら石造りの家こそが最高と言っているのだ。
 本当に白人とは傲慢な連中だ。」
と、怒りをお笑いで露わにしていた内容だった。

これを読んだ途端、昔感じた違和感を思い出した。

あ~こういう風に感じた人っていたんだ、と。

もちろん私はこの童話を「ちびくろサンボ」のように出版禁止にしろなどと言う者では決してない。

ただし、この種の童話は要注意だとは思っている。

裏をしっかりと読み取っておかないと、
他ならぬ我が子に妙な罪悪感を植え付けてしまうからだ。

この童話でははっきりと「藁の家」「木の家」はダメなのだ、と主張している。

そして少なくとも東洋においては「木の家」に暮らすのが平成時代の現代をもってしても普通なのだ。

安易に西洋の童話を有難がるのは危険であるとも思う。

終わり