火星大接近をインスタ映えさせる方法

「火星大接近をインスタ映えさせる方法」

これから書くことは、写真マニアや天文マニア向けの上級撮影法などではありません。

初心者が書く初心者のための非常にリアルで実用的な火星大接近の撮影法です。

スマホ、コンパクトデジタルカメラ一眼レフカメラを使用して、
如何に「火星大接近」と言う珍しい現象を撮影してインスタ映えさせるか、についてです。

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上記のようなカメラを使用しつつ、出来ない事は出来ないとあっさり諦めて、
出来る事だけに集中してインスタ映えさせようと言う目的で書きます。

また、手軽で簡単な撮影から段々と難度が上がって行くようにして書いて行きます。

どの段階でも全て初心者目線です。

まだマスコミでは大騒ぎしていませんが、
2018年7月31日に実に15年ぶりに「火星大接近」が起こります。

7月31日を含めた前後の数日に晴れたら観察すべきでありましょう。

マイナス2.8等級(木星より明るくなる)まで明るくなった赤い火星がギラギラと輝いているかと思います。

火星は32年に2回、つまり15年もしくは17年周期で「大接近」します。

火星は2年ちょっとの周期で地球との接近を繰り返していますが、
楕円軌道のため「小接近」「中接近」「大接近」と、
それぞれ近付き方に大きな差があります。

大接近はかなり珍しい現象と言えます。

最近ではそれらの接近をひっくるめて「スーパーマーズ」と言う表現でマスコミが盛り上げようとしている意図を感じています。

しかし「小接近」「中接近」はそれほど大した現象ではありません。

少なくとも天文趣味人的には「あ~そうですか。なるほど。」くらいかと。(笑)

「大接近」は結構美味しいです。

さて、ここで良く考えてもらいたいのです。

今回の大接近は、前回の2003年から15年ぶりです。

15年前。

良~く思い出してもらいたいのです。

今から15年前は、非デジタル及び非SNS時代だったのです。

デジタルカメラは一応ギリギリあったくらいですが、
まるで実用性はなくまだまだフィルムカメラ全盛時代でした。

メールはありましたが「SNS」はありませんでした。

もちろんスマホなんかありません。

ガラケー時代です。

つまり今回の火星大接近は「SNS現代人」が初めて体験する天文現象です。

スーパームーンだとか皆既月食などを体験したほとんどのスマホSNS人は、
インスタ映えを狙って見事に砕け散っているかと思います。(笑)

はっきりと断言しておきます。

天体撮影の難度は異常に高いです。

簡単だと言っているヤツがいたら、
自分の腕自慢をしたい俺様一番君なので傾聴に値しません。

それがどれほどの難しさかと言いますと。

普段、昼間の撮影をメインに活躍している「プロの」カメラマンであったとしても。

月や火星、木星土星の本格的に綺麗な写真を撮るのは「不可能」です。

何故なら、カメラの腕前だけではどうする事も出来ないからなのです。

天体望遠鏡の完璧な操作をマスターしていない限り手も足も出せない世界です。

従いまして、スマホもしくはコンパクトデジタルカメラだけを使用している人は、
あくまでも「綺麗で大きな火星の写真は諦めて下さい」

撮ろうと思うだけ時間の無駄です。

発想を転換すべきです。

スマホコンデジで撮る場合は、間違いなく「星景写真」もしくは「星野写真」と呼ばれるものにすべきでしょう。

これは風景と星を同時に写す撮影法です。

フラッシュも焚けば人物も写ってくれます。

降るような星空と風景&人物の写真はスマホコンデジでは無理ですが、
大接近中の火星単体なら何とかギリギリ写ってくれるかと思います。
(凄く小さいですが)

新型のスマホには撮影設定を変える機能がある機種もありますから、
もしあれば「夜景モード」「夜景&人物モード」にして、
ともかく夜景と何とかポツンと赤く写る火星を撮ってみるのが一番のインスタ映えかと。

用意するものは家電量販店で売っているミニ三脚が非常に安くて良いかと思います。
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(写真参照)

また、スマホで撮影する場合は、スマホを固定して三脚につけるための器具も買って下さい。

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↑写真参照↑

普通のカメラ三脚があれば迷わずに持参して下さい。

普通のカメラ三脚の場合も、もちろんスマホで撮る場合はスマホ固定用の専用器具が必要なのは言うまでもありません。

ともかく、手持ちでは上手に写ってくれませんから、
出来れば三脚を。

夜間の撮影は面白いようにブレまくりますから要注意です。

まあ、ガードレールとかにスマホを載せて固定すれば、
もしかしたら何とか写ってくれるかも知れません。

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↑写真参照、スマホのオートで撮影。左下方は月。中央右寄りに火星)↑

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スマホの夜景モードで撮影。曇ってしまったので火星は見えない。↑

ちなみに三脚に固定しても実はまだダメなのです。

クリアな写真は先ず撮れません。

何故なら、レリーズがありませんから、
シャッターを押す時は手で触れます。

この時の振動でどうしてもブレてしまうのです。

夜間撮影は特にシビアにこのブレの影響が出ます。

そのため、逆にシャッターを押すのを躊躇ってはなりません。

10枚20枚どころか、50枚くらいは撮って下さい。

そうすれば何枚かは綺麗に撮れているかも知れません。

ポイント:スマホもしくはコンパクトデジタルカメラで火星大接近を撮影する場合

・星と風景(さらには人物)を一緒に撮る「星景写真」だけに集中

・必ず三脚に固定する。スマホの場合は三脚に固定するための専用器具を使う。

・赤い火星が写っていたら大成功とする

・降るような星空の写真は基本的に無理と考える

・シャッターはどんどん押して枚数を沢山撮る

続いて高級コンパクトデジタルカメラデジタル一眼レフカメラによる火星大接近の撮影を考えます。

用意する物は「三脚」「レリーズ」です。

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ここでも「星景写真」に焦点を絞った方が無難です。

一眼レフの望遠レンズや高級コンデジの望遠機能を使うと何とか大きな火星が撮れるのでは?と思ってしまい、
使いたくなってしまうでしょうが諦めましょう。

どんなに拡大しても「ブレた赤いポッチ」にしかなりません。

300mmでも無理です。

100万円以上する500~600mmの望遠レンズを使っても無理です。

何故なら、拡大すればするほど、火星は非常に速く動いてしまうからです。

つまり三脚で固定しても火星そのものが見掛け上かなりな速度で動いていますから、
クリアに撮るのは無理なのです。

拡大すればするほどこの動きの速さに唖然とするはずです。

撮れる訳がないと思うでしょう。

実際に撮れません。(苦笑)

従って、三脚を使用する場合は「星景写真」に特化して撮影すべきです。

この場合、かなり綺麗な星景写真が撮れます。

では参考までに綺麗ではありませんが、
コンパクトデジタルカメラを三脚に固定して撮影風景を撮った写真をアップします。

コンデジだとこんな感じでの星景写真になるかと思います。

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↑フラッシュを焚いて近くの機材を綺麗に写すようにしました。
  機材を人物だと考えればまあまあのインスタ映えはするかと思います。↑

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コンデジで、フラッシュを焚かないで露出時間を多めに撮って撮影した場合↑

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一眼レフカメラでも三脚無しで柵にカメラを置いて撮影するとこれくらいが限界です。↑

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コンデジで三脚無しだとこんな感じになってしまいます。↑

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コンデジを三脚に固定して月を撮るとこんな感じです。↑

続いてデジタル一眼レフカメラでの撮影です。

ただし、一眼レフカメラの場合、全てのオートを解除して手動でセッティングする必要があります。

ピント、シャッター速度、露出、ISO、ホワイトバランス、絞り等々全てのオートを解除して手動にします。

これらを上手に操作すれば「それはそれは見事なインスタ映え」する事でしょう。

まあ、夜景モードで撮っても「それなりにインスタ映えする写真」は一応撮れるかとは思います。

三脚とレリーズがあれば、と言う前提条件付きですが。

では一眼レフカメラで三脚、レリーズを使用して標準レンズで撮った場合の写真を掲載しておきます。

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一眼レフカメラ、三脚、レリーズ、標準レンズです。星の写り方にご注意を。↑

続いて300mm望遠レンズを使用した写真を掲載しておきます。

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↑撮影対象は月ですが、月の左下に星が見えています。これくらいは写ってくれます。↑

また、最近では簡易赤道儀と呼ばれる、
星を自動追尾する小さな機器で、簡単に三脚に付けられて、
コンデジ一眼レフカメラを載せられる物が売っています。

しかしこれが有効なのはあくまでも「広い範囲の星空」です。

今回の火星大接近にはそれほど威力がありません。
(降るような星空を撮るには大変良いですが)

最後にマニア向け、あるいは上昇志向を持った人向けに書きます。

以下の文章は天文趣味人向けです。

天体望遠鏡一眼レフカメラを接続して火星大接近を撮影する方法です。

天体望遠鏡は、特に惑星撮影の場合、
口径の大きな「反射望遠鏡」もしくは「シュミットカセグレン型」が圧倒的に有利です。

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↑写真参照。16cm反射望遠鏡

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↑シュミット・カセグレン型望遠鏡(写真は借り物)↑

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↑7.5cm屈折望遠鏡。(再掲)↑

小口径の屈折望遠鏡は不利です。

しかし上手く行けば度肝を抜くような写真が撮れます。

ただし、天体を精密に自動追尾してくれる赤道儀と呼ばれる機器は必須です。

あるいは赤道儀ではなく経緯台式でもコンピュータによる自動追尾式が必須です。

どちらの場合でも追尾装置を正しくセッティングして正確に星を自動追尾する必要が先ずはあります。

次に、惑星撮影は通常の月や比較的広い範囲の星を撮影するための「直焦点撮影法」では綺麗に写ってくれません。

直焦点撮影法(俗称:直焦)ではなく「リレーレンズ撮影法」で撮る必要があります。

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↑写真参照。リレーレンズ撮影法のカメラと天体望遠鏡の接続部拡大写真。↑

この撮影法の難度は非常に高いです。

「いきなり」では先ず無理です。

この場合(初めての場合)、アイピースは出来るだけ低倍率(18mmとか20mm)の方が無難です。

高倍率(6mmとか8mm)にすると火星は巨大に見えてくれますが、
16cm反射望遠鏡でも非常に暗くなりますし、

追尾も余程正確にセッティングしていないとクリアには絶対に撮れません。

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↑16cm反射望遠鏡での火星。しかしシーイング悪し。像安定せず。↑

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↑7.5cm屈折望遠鏡での火星。シーイングは良かったが小口径の限界。↑

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↑7.5cm屈折望遠鏡での木星

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↑7.5cm屈折望遠鏡での木星


ちなみに私事で恐縮ですが、
現在の私のメイン機である高橋製作所MT160SE、
ニュートン式16cm反射望遠鏡撮影システムはバッテリーが死んでしまったのと、
精密調整の必要があるため使えません。

以前、調整に出そうとしたら半年待ちの上に「ウン万円かかる」と言われ、
そのままの状況になってます。(苦笑)

今回の火星大接近の撮影はサブ機のPENTAX75SDHF7.5cm屈折望遠鏡で挑む予定です。

追記:

惑星撮影は大気の影響を非常に強く受けてしまいます。
埃が多い時(シーイングが悪い)や大気が揺らいでいる時(シンチレーションが悪い)は、
綺麗には撮れません。

また、反射望遠鏡使用者の中級者以上にとっては常識ですが念のため。
反射望遠鏡は野外に出しても直ぐには撮影不可能です。

野外に出してから最低でも30分以上は放置して、
筒内気流を安定させない限り精密撮影は出来ません。

さらなる追記:

星景写真を撮る時は、何をメインに撮りたいのか?を明確にする必要があります。

露出を変化させることにより大きく変わってきます。

↓風景をメインにしたい場合。(星は写っていればいいと考えた場合)↓

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↑露出を過多にすれば月の形は潰れますが風景はしっかりと写ってきます。↑

↓続いて標準の露出です。↓
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↑どちらもそこそこ写ってきますが、どちらもクリアではありません。↑

↓続いて露出を少なくした場合です。↓
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↑風景はほとんど消えますが、星はクリアになって来ます。↑

どれを選ぶのかは自分の好み次第です。

全部をクリアにするためには合成写真にするしかありません。

最近では比較明合成だとか素晴らしい天文ソフトもあり、優れた手法があります。

まとめ:火星大接近・・・面倒臭いな。(爆)

終わり