北朝鮮ミサイル問題について ： 軍事における「ゼロ・１００思考」は非常に危険
昨夜、久し振りに友人に政治のある問題のことで意見を聴きたくなり、
ＬＩＮＥの電話機能で随分と長話をしてしまったのだが。
最初、彼はてっきり北朝鮮のミサイル発射問題だと思ったらしく、
「あ～あれだろ？Ｊアラート。ミサイルの警報について意味は無いと言い出しているバカ共のことだろう？」と。
聴きたかったのはその問題ではなかったのだが（笑）、
大変興味深い意見を言い始めたので拝聴した。
そして私が過去色々書いて来た災害対策の根本的な意見とリンクしていると気付いた。
それが掲題の「ゼロ・１００思考」となる。
これは私の造語で（もしかして既に言われていたら失礼）、
「０％か、１００％か」つまり「全否定か全面受け入れか」と言う思考パターンで、
中間的な部分をまるで考慮しない考えをする人を指す。
これはどういうものなのかと言うと、
人間は未経験の出来事に接した時、
この「ゼロ・１００思考」に陥り易いと言うものとなる。
分かり易い１例を挙げると、ビートルズが登場した時、
世の中の大人の大半は「あんなの音楽じゃない！！」と言って全面否定した。
これは世界共通の思考パターンなのかも知れない。
例えば印象派の絵画が登場した時も「あんなの絵じゃない！！」と非難の大合唱が起こった。
今の時代にビートルズなんか音楽じゃないとか、
印象派なんか絵じゃないと本気で主張する人がいたら、
余程頭のイカれたヤツか、変わり者か、
いずれにしても誰からも相手にされないだろう。
日本の例で言うと、
かつて戦後民主主義の中で育った日本人の多くは、
東海大地震他、色々な大地震の危険性が指摘されても、
リベラル思想の一環として軍事を匂わせる「サバイバル装備」を徹底的に嫌っていた。
実は私が敬愛している作家の安部公房氏ですらも対談の中で当時、
「最近、地震対策とかでサバイバルって言うんでしょうか？
自分の身を守ろうとする風潮。
あれ、嫌ですね。」と言うように語っている。
実際にそのような風潮は間違いなくあった。
私が当時、構わず装備を進めていると、ある女性がこう言ったのに驚いた。
「私は大地震が起こったら間違いなく死ぬと思っているので備えません。」と。
これが典型的なゼロ・１００思考パターンとなる。
その後、阪神淡路大震災や新潟中越地震、東日本大震災、熊本大地震が起こって、
今、もし上記のような事を言っている人がいたら頭がおかしいと思うだろう。
でも当時は真面目にそのような戯言を平気で言う人が大勢いた。
ちなみに私は高校時代、世の中のほとんどの大人の男達を徹底的に嫌っていた。
理由は非常に単純で、自分が大好きになり乗っていたオートバイを、
オートバイを知りもしない大人の男達が平気で「そんなのに乗って」と言って来たからだ。
何故、自分が知りもしないことを全否定できるのだろうか？と、
以来、私は日本人の大人の男達の思考をまるで信用しないクセがついてしまっている。
さて、Ｊアラートと言うヤツ。
これは間違いなく全く新しいタイプのものとなる。
似ているものとしては「緊急地震速報」になるだろう。
ちなみに前述した大震災を経験している今、
「緊急地震速報は役に立たない」などと言っている者がいたら、
全く相手にされないだろう。
当初は、直下型地震には役に立たないから意味は無い、とか、
地震の起こる数分前とか、１０秒前に知ってどうなる？と言う意見があった。
でも、今もし「だから緊急地震速報は要らない」と言って盛んに説いて回る者がいたら、
確実に頭がおかしいヤツと思われるだろう。
例え１秒前であっても人間は不意打ちと事前に知っているのでは全く違う。
緊急地震速報はもちろん完全なものではない。
直下型地震には無力だし、誤報もある。
だからと言って１００％否定し、それを説いて回る者は害悪をまき散らしていると言っていい。
Ｊアラートも同様だ。
誤報もある。
先ほどＹａｈｏｏ！ニュースを見たら音に驚いて交通事故が起こったと書いてあった。
この種のニュースには慎重に接する必要があると思う。
では、だからＪアラートは無くした方が良いのだろうか？
ゼロ・１００思考ほど悪質なものはない。
天災である大地震ですらも、私達は緊急地震速報や事前の装備を通じて、
被害をかなり軽減させることが出来るのである。
残念ながら１００％は無理だ。
でも私達は未曽有の大震災の経験を通して、
それを１０％、２０％、３０％と、事前の努力と装備により減らせることを知っている。
ましてミサイルは人災だ。
飛来するミサイルに対しては、Ｊアラート以外に、
イージス艦による迎撃ミサイルの発射、地上部隊からの迎撃ミサイルの発射、
米軍による迎撃ミサイルの発射など幾層にもなった対策を持っている。
決して無力ではない。
しかしながら。
Ｊアラートは軍事に関わるものなので、
思想絡みで全否定してくる者が非常に多い。
そのような言動で被害者が軽減するのならば大歓迎なのだがあいにくそうではない。
無責任でいい加減な、自分のプライドを守るためだけにたれ流している、
ビートルズを否定していた当時の腐れた大人達と全く同じ思考パターンだと言っていい。
軍事におけるゼロ・１００思考は大勢の命に関わる問題なので、
いい加減な言動をする者を許してはならない。
これは言論の自由の問題ではなく、
大震災の時にデマを面白半分に流す類の人間と同じ種類だと思うべきであろう。
友人の話を聴いていて、なるほどな、と思った次第。
終わり
ＬＩＮＥの電話機能で随分と長話をしてしまったのだが。
最初、彼はてっきり北朝鮮のミサイル発射問題だと思ったらしく、
「あ～あれだろ？Ｊアラート。ミサイルの警報について意味は無いと言い出しているバカ共のことだろう？」と。
聴きたかったのはその問題ではなかったのだが（笑）、
大変興味深い意見を言い始めたので拝聴した。
そして私が過去色々書いて来た災害対策の根本的な意見とリンクしていると気付いた。
それが掲題の「ゼロ・１００思考」となる。
これは私の造語で（もしかして既に言われていたら失礼）、
「０％か、１００％か」つまり「全否定か全面受け入れか」と言う思考パターンで、
中間的な部分をまるで考慮しない考えをする人を指す。
これはどういうものなのかと言うと、
人間は未経験の出来事に接した時、
この「ゼロ・１００思考」に陥り易いと言うものとなる。
分かり易い１例を挙げると、ビートルズが登場した時、
世の中の大人の大半は「あんなの音楽じゃない！！」と言って全面否定した。
これは世界共通の思考パターンなのかも知れない。
例えば印象派の絵画が登場した時も「あんなの絵じゃない！！」と非難の大合唱が起こった。
今の時代にビートルズなんか音楽じゃないとか、
印象派なんか絵じゃないと本気で主張する人がいたら、
余程頭のイカれたヤツか、変わり者か、
いずれにしても誰からも相手にされないだろう。
日本の例で言うと、
かつて戦後民主主義の中で育った日本人の多くは、
東海大地震他、色々な大地震の危険性が指摘されても、
リベラル思想の一環として軍事を匂わせる「サバイバル装備」を徹底的に嫌っていた。
実は私が敬愛している作家の安部公房氏ですらも対談の中で当時、
「最近、地震対策とかでサバイバルって言うんでしょうか？
自分の身を守ろうとする風潮。
あれ、嫌ですね。」と言うように語っている。
実際にそのような風潮は間違いなくあった。
私が当時、構わず装備を進めていると、ある女性がこう言ったのに驚いた。
「私は大地震が起こったら間違いなく死ぬと思っているので備えません。」と。
これが典型的なゼロ・１００思考パターンとなる。
その後、阪神淡路大震災や新潟中越地震、東日本大震災、熊本大地震が起こって、
今、もし上記のような事を言っている人がいたら頭がおかしいと思うだろう。
でも当時は真面目にそのような戯言を平気で言う人が大勢いた。
ちなみに私は高校時代、世の中のほとんどの大人の男達を徹底的に嫌っていた。
理由は非常に単純で、自分が大好きになり乗っていたオートバイを、
オートバイを知りもしない大人の男達が平気で「そんなのに乗って」と言って来たからだ。
何故、自分が知りもしないことを全否定できるのだろうか？と、
以来、私は日本人の大人の男達の思考をまるで信用しないクセがついてしまっている。
さて、Ｊアラートと言うヤツ。
これは間違いなく全く新しいタイプのものとなる。
似ているものとしては「緊急地震速報」になるだろう。
ちなみに前述した大震災を経験している今、
「緊急地震速報は役に立たない」などと言っている者がいたら、
全く相手にされないだろう。
当初は、直下型地震には役に立たないから意味は無い、とか、
地震の起こる数分前とか、１０秒前に知ってどうなる？と言う意見があった。
でも、今もし「だから緊急地震速報は要らない」と言って盛んに説いて回る者がいたら、
確実に頭がおかしいヤツと思われるだろう。
例え１秒前であっても人間は不意打ちと事前に知っているのでは全く違う。
緊急地震速報はもちろん完全なものではない。
直下型地震には無力だし、誤報もある。
だからと言って１００％否定し、それを説いて回る者は害悪をまき散らしていると言っていい。
Ｊアラートも同様だ。
誤報もある。
先ほどＹａｈｏｏ！ニュースを見たら音に驚いて交通事故が起こったと書いてあった。
この種のニュースには慎重に接する必要があると思う。
では、だからＪアラートは無くした方が良いのだろうか？
ゼロ・１００思考ほど悪質なものはない。
天災である大地震ですらも、私達は緊急地震速報や事前の装備を通じて、
被害をかなり軽減させることが出来るのである。
残念ながら１００％は無理だ。
でも私達は未曽有の大震災の経験を通して、
それを１０％、２０％、３０％と、事前の努力と装備により減らせることを知っている。
ましてミサイルは人災だ。
飛来するミサイルに対しては、Ｊアラート以外に、
イージス艦による迎撃ミサイルの発射、地上部隊からの迎撃ミサイルの発射、
米軍による迎撃ミサイルの発射など幾層にもなった対策を持っている。
決して無力ではない。
しかしながら。
Ｊアラートは軍事に関わるものなので、
思想絡みで全否定してくる者が非常に多い。
そのような言動で被害者が軽減するのならば大歓迎なのだがあいにくそうではない。
無責任でいい加減な、自分のプライドを守るためだけにたれ流している、
ビートルズを否定していた当時の腐れた大人達と全く同じ思考パターンだと言っていい。
軍事におけるゼロ・１００思考は大勢の命に関わる問題なので、
いい加減な言動をする者を許してはならない。
これは言論の自由の問題ではなく、
大震災の時にデマを面白半分に流す類の人間と同じ種類だと思うべきであろう。
友人の話を聴いていて、なるほどな、と思った次第。
終わり
