北朝鮮のミサイル発射問題と現代戦の誤解
こと軍事に関わる問題で知り合いと話していると、
「全く考えていない」もしくは、仮に考えていたとしても未だに72年前の「第二次世界大戦メンタリティ」で語る人が多いのに驚いてしまう。
もちろん私もそれほど詳しい者ではないが、
いくら何でもそれはないだろう?と思うことが非常に多い。
最も多いのはリベラル系の人がよく言う「いつか来た道」。
この種の人は軍事イコール悪なので語ることすら許されない思考回路をしていると感じている。
今現在でも世界各地で起こっている戦争を全く無視している。
帝国主義アレルギーメンタリティと言い換えることも可能で、
日本人さえ平和と言っていれば絶対に戦争は起きないと思い込んでいるタイプ。
反対に、保守系の人。
日本も徴兵制を再び導入して云々などとやけに威勢のいいことを言う。
徴兵制を導入して、国民皆兵にすれば凄く強い軍事国家になれると思い込んでいる。
だが、国民皆兵とは、歩兵中心の軍隊を意味している。
これについて、軍事に詳しく、教師をやっている友人は、
おそらくは親の影響を受けて「いつか来た道」だとか「徴兵制」だとかを言って来る第二次世界大戦メンタリティ生徒を優しく諭していると言う。
彼らはキチンと話してやると理解してくれるんだよね、と友人は言う。
「「いつか来た道」とは帝国主義を言っているんだよね?
帝国主義時代の戦争とは領土拡大を目指していた時代を意味しているのは分かるよね。
植民地支配をするんだ、と。
つまり「いつか来た道」とは、
そうして統治したいと本気で思っていると思うのか?
いつか来た道とはそういう道なんだよ。
仮に戦争に勝ったとしても、統治と言う非常に厄介な長い道のりが待っている。
そんな事は、もう誰も望んでないだろう?
もし、望んでいる人がいたらちょっと頭がおかしいと言っていい」と。
そして現代の先進国の戦争とは「戦闘」も「戦争勝利後の統治」も、もう第二次世界大戦時とはかなり違っているのだ、と。
そこで先ずは非常に分かり易い動画をユーチューブで見つけたのでリンクを貼る。
↑これは日本映画「亡国のイージス」の一場面となる。
躊躇いなくハープーン艦対艦ミサイルを発射するイージス艦。
射程約150km。
速度マッハ0.85。
ミサイル発射を確認した護衛艦「うらかぜ」は迎撃ミサイルシースパローを発射する。
迎撃失敗。
続いて艦砲射撃に入る。
現代の主砲は戦艦大和時代の3連砲と違って1つしかない。
しかし連射性能と精度は比較にならないほど速く正確だ。
これにより迎撃に成功する。
だが、発射されたミサイルは1発ではない。
続いて飛来したミサイルは迎撃できなかった。
これにより、100km以上離れた位置から「うらかぜ」はあっさりと撃沈され、
レーダー反応から消える。
このように、現代の戦闘は相手が見えないうちに勝敗が決してしまう。
動画ではこの後の場面は出て来ないが、
戦争映画とは、現代の戦争においても、
どうしても緊迫感のあるシーンが欲しいため、
「接近戦」のみを取り上げるキライがある。
戦闘機によるドッグファイトなどは未だに人気がある。
しかし、現代の艦隊戦は電子戦とも言える。
ハープーンミサイルの射程距離は150kmくらいだが、
トマホークに至っては3000km。
現在、北朝鮮が盛んに撃ちまくっていて、
特に日本で問題視されているのは中距離弾道ミサイル火星12。
射程距離は5000km?とも言われている。
ミサイルの被弾も非常に恐い。
しかし、元々迎撃システムは100%を保証するものではない。
現に、映画では艦対艦戦闘ではあるが、
迎撃ミサイルシースパローを3発撃っているように見える。
その後、艦砲射撃、それでもダメなら機銃掃射と言う3段構えで防御する。
だが、沈められてしまう。
本当の攻撃は複数でやって来ると考えるべきだろう。
最も恐いのはミサイルの飛来ではないと私的には思っている。
確かに、恐いには恐い。
核弾頭ではなく、通常弾頭だとしても、
仮に10発撃たれたとする。
迎撃率が90%であるなら、1発は都市に着弾する計算になる。
30発なら3発。
こうなると最悪数千人単位の死者が出る。
しかし一番恐いのはテロであろう。
既に日本に潜入している工作員がテロ活動を開始する。
戦争継続どころではなくなってしまい、大混乱状態となる。
現代戦を絶対に第二次世界大戦メンタリティで考えてはならないと思う。
そして、もっとも恐れるべきは派手な戦闘ではないと思っている。
もし大勢の死者が出た場合、ただでさえも悪化している日韓関係。
戦後72年間の平和は有難いことではあるが、
それが破られた時の反動は想像を絶する。
終わり