分かっているようで分かっていないこと 歌舞伎編

歌舞伎を初めて観て感動し、
それ以降、生涯の趣味とする人はとても多いと思います。

しかしあくまでも観劇中心にして関連の読書まではしない人も案外多いと感じています。

かくいう私もその一人ですが。(苦笑)

このような場合、よく目にして何となく分かったような気になっていて、
実はまるで分かっていない用語が多々あるかと思います。

そのうちの1つについて「NHK趣味どきっ!中村獅童のいざ歌舞伎へ」のテキストに見事な解説があったので、
それをご紹介したいと思います。

先ずは歌舞伎を鑑賞する人なら絶対に手にしたことのある「チラシ」をご覧ください。

歌舞伎座のチラシです。

該当部分を赤丸で囲んでおきました。

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分かり難いと思いますので拡大写真をアップしておきます。

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長唄」「常磐津」「清元」「竹本(義太夫)」

この上記4つは歌舞伎を鑑賞する際、必ず登場すると言っていい人達です。

何度も観ている人は、これが三味線を伴った歌もしくは語りをする人達であるのは分かっているはずです。

しかし違いは?

何となく違っているのは分かるけど・・・くらいであるかと思います。

私自身は何度か本で読んで違いを知っていたつもりですが、
直ぐに忘れてしまうパターンでした。(笑)

譜面台(見台(けんだい)と呼ばれる)の形が違っていたんだよな、くらいの感覚でした。(苦笑)

ところが前述の「NHK趣味どきっ!中村獅童のいざ歌舞伎へ」のテキストに、
見事な解説が載っていて非常に驚いたのであります。

長唄
主に歌舞伎舞踊の伴奏として生まれた江戸時代の音曲の一つ。
三味線は細棹。
(見台の)足の部分がクロスしているもの。

常磐津」
語り物の浄瑠璃の一つ。
京都で生まれ、江戸歌舞伎とともに発展した。
三味線は中棹。
朱塗りの蛸足が象徴的。

「清元」
江戸時代後期に生まれた浄瑠璃の一つ。
三味線は中棹。
黒塗りの台に一本の脚がついているシンプルな作り。

「竹本(義太夫)」
江戸時代の前期に大坂の竹本義太夫が始めた浄瑠璃の一つ。
三味線は太棹。
白い房のついているのが特徴。

テキストの87頁の図を一部引用しておきます。
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↑これを見れば一目瞭然であるかと思います。

歌舞伎は様々なものを取り入れて発展した文化ですから、
用語も沢山あります。

必ずしも知らなくても楽しめるものでありますが、
知っていればもっと楽しくなるかと思います。

三味線が違っているとなると、微妙に音も違うでしょうし。

今後の歌舞伎鑑賞の大いなる楽しみの一つになるかと思います。

どうしても現代日本人が聴く音楽は西洋音楽が中心になってしまいますが、
歌舞伎座で初めて耳にしたこれら音楽のインパクトは忘れることが出来ません。

それは日本人のDNAにダイレクトに響いてくる感覚とでも言えましょうか。

ハマるとこれらの音楽無しではいられなくなるくらい聴きたくなります。

ちょっと間をおいてから歌舞伎鑑賞に来て上記の音楽を耳にすると、
「あ~これだよ、これこれ。」となるのです。

とても良いものであるかと思っておりますが、
いかんせん、似たような格好で登場して来ますから区別は難しいです。

ともかく。

さすがにNHKテキスト!と言った感じであります。

終わり