バッハ特有の旋律とバッハを感じる心について

ソナタ ト短調 BWV 1020

バッハの複雑な対位法音楽を除いて、
旋律を中心とした音楽を聴いてみる。



フルートの旋律はバッハ音楽特有の短調で高速度なタイプ。

私的には大変好みであり、
時折独特の逆行と一瞬の停止を見せながらも典型的な展開を見せる。

あ~バッハだな~と思う。

しかし。

第3楽章のアレグロの展開において。

えっ!?と思わないだろうか。

対位法ではない、単純な旋律音楽の動きは誤魔化しようがない。

バッハではない旋律が現われているように感じてしまう。

ほんの僅かな小節に過ぎないのだけれど。

とても気になり、わざわざBWV 1020を文献と照らし合わせてみる。

すると・・・偽作?C.P.Eバッハ?との記述が見られる。

バッハの時代は現代とは違い、著作権なんかはなかったので、
バッハ自身も別の作曲家の曲を多く編曲している。

バッハ以降の作曲家も同じように旋律を真似ている。

この曲はバッハ自身の作曲によるものなのか?

はたまた偽作なのか?

それともハイブリッド作品なのか?

そのような判定は専門家に任せておくのが良いと思う。

問題はバッハを感じる心にあるかと思う。

後世の音楽家の作品においてもバッハ的な展開をしているとドキッとする場合がある。

それを感じ、楽しめるのかどうか。

音楽とは、楽しくなければ聴く価値はない。

BWV 1020。

私的にはとても素敵な調べだ。