昔、学生時代になると地方から出て来て下宿している人が沢山いた。
また、県人会なる存在を知り、
正直、当時の私はその種の感覚が全然理解出来ないでいた。
自分にとって「ふるさと」は東京であり、
それ以外の場所に郷愁を抱く感覚が分からなかった。
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私のオヤジが仕事で、ある大企業(東京本社)を訪れた時のこと。
担当の人と話になった。
その本社は東京のど真ん中にあり本社社屋だけで何千人もの従業員がいる。
ひょんな事からその担当の人は南麻布の出身だと言う事が判明した。
すると、オヤジ(南麻布出身)とその人は途端に旧知の間柄のような関係になった。
破顔一笑。
「私の会社にはこの本社だけで何千人もいます。
けれど東京本社にも関わらず麻布近辺の出身者は私を入れて3人しかいません。
非常に嬉しいです。」と。
そして「がま池」などの基本的な話からマニアックな麻布の思い出に花が咲いたそうだ。
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私の友人・・・・・
ある日、地方のデパートの展示会だか何かに「豆源」が出店しているのを発見した。
「豆源」は麻布十番にある超有名なお煎餅屋さんだ。
友人は横浜に引っ越してからも、ちょくちょく豆源に寄り、
その煎餅を買って帰っていた。
こんな所にも出店があるのか?と立ち寄ってみた。
「豆源さん、ですよね?こんな場所に店があるとは知りませんでした。
以前は南麻布で暮らしていたのですが、今でもちょくちょく寄って買っています。」
すると、年配の店員が驚いたような顔をして言った。
「ちょっと、お待ち下さい」と言って名刺を取り出して来た。
「いや~・・・南麻布の方・・・大変嬉しいです・・・○×△・・・」
破顔一笑。
途端に昔話に花が咲く。
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ふるさと・・・同郷であること・・・
それは私の想像以上に大きな力を持っているようだ。
今の私は・・・年を経るにつれて昔を懐かしんでいる。
老いているのだと思う。
けれど・・・・・「ふるさと」を思う事は心地良い。
終わり
余談:今後も「東京・山の手秘話」の書庫はパワーアップして行きそうです。
資料もハンパなく揃いつつあります。
(^^v