「AGE」(東京・新宿)

私のオヤジはバリバリの江戸っ子で、
本村→一商(旧制中学)の筋金入りだ。

そして酒好き・・・・・

まあ、江戸っ子の正統な酒好きは当然・・・新宿が好きになる・・・(苦笑)

今でも新宿に飲みに行っている。

もう、麻布在住時代とは違って、
いくら東京に一番近い横浜市某区とは言え、わざわざ新宿へ・・・(>0<;

新宿・・・ゴールデン街に代表されるように、
新宿の一部の飲み屋は非常にインテリ度が高く、敷居も非常に高い。

見た目はズタボロのショウモナイお店だと言って侮るなかれ・・・・・

一歩中に足を踏み入れると・・・・・

現代日本を代表する作家連中が静かに酒を飲んでいたりする。
(静かでない場合も多い。爆)

色々な店があったが今回は「AGE」を挙げたい。

新宿のちょっと外れにあった。

その後、目白に引っ越したりしたが、もう辞められたようだ。

物凄いボロいビルの一角にあった。

20代のある日、私は恵比寿で古い友人と2人で飲んでいた。

彼は無類の酒好き。

「オマエ、どこか良いお店知らない???」と言ったので、
私はその時は本当に恥ずかしかったが、
新宿の「AGE」って言うお店を知っている、と告げた。

そして、彼と2人で行く事になった。

物凄いボロい階段を上がって行く・・・・・

そして扉を開けると・・・顔見知りのママさんが、
「あらまあ、珍しい」とニコヤカに迎えてくれた。

何故か彼は挨拶した後、しばらく黙り込んでお店の中を眺めていた・・・・・

私は彼に悪い事をしたかな?と思ってしまった・・・・・

少しして、ママと喋り始めた友人・・・・・

堰を切ったように話し出した・・・・・

「オレ、オレ・・・・・凄く感動しているんです・・・・・

 ここ・・・五木寛之の小説そのまんまじゃないですかっ!!(@@;

 オレ、昔からこういう所で飲むのが夢だったんです・・・・・」と。

さすがに南麻布出身の彼と言えども、無類の酒好きは新宿に憧れていたようだ。

それもバリバリの文壇の飲み屋に・・・・・

非常に楽しいひと時を過ごした。

彼は「AGE」を出た後、その日の勘定は私に絶対払わせなかった。

「オレ、凄く嬉しいんだ。今日は・・・・・久々に凄く感動した。」と。

AGE・・・・・バブル時代に翻弄され、そして今はもうない。

終わり