猫の垂直2mジャンプ

昔々、猫を飼っていた。

キジ猫(虎のような模様)のメスで「チャム」と呼んでいた。

とっても可愛いが凶暴な猫だった。

冬の夜などは「アッオッ」と鳴きながら、
布団の中に入って来ようとする。

毛がつくのが嫌なので、入れないでいると、
強行に頭を押し付けてくる。

結局根負けして入れてやると、
「ゴ~ロゴロゴロ」と喉を鳴らして、
気持ち良さそうに朝まで寝ている。
こっちも暖かくて気持ち良かった。

しかし、ネズミ、鳥、蝉、虫、蜥蜴等々、
あらゆる生物を捕獲して来た。

また、性格もなかなか凶暴で当時飼っていた犬も敵わなかった。

そんなある日、猫が病気になって身動きが出来なくなった。
獣医さんに診てもらうと「肺炎」だった。

すかさず注射してもらった。
でも身動き1つしなかった。

獣医「随分大人しいネコちゃんですね~」

私「いえ、絶対そんな事はありません。凶暴です。ただ具合が悪いだけです」

獣医「いやいや、そんな事はないですよ」

と言って、信じてもらえなかった。

3日後、再び獣医さんが来た。
猫の目付きが変わっている事にその獣医さんは気付かなかった。

前回と同じ調子でプスッっと注射した途端、
「フンギャーーーーーーーーーッ」と雄叫び(メスだけど)を上げた猫が、
垂直に2mほどジャンプした。

獣医さんは注射器を持ったまま呆然としていた。

その後、顔以外を全て覆う専用袋に猫を閉じ込めて再び注射を打った。

しかし、途端に1m半程再びジャンプした。

再び注射器を持ったまま呆然とする獣医・・・

私(心の中で)「だから言っただろ、凶暴だって」