子供の犯罪被害対策

重い話しで申し訳ありません。
m(_ _)m

治安が悪化している、と言われている。

しかし、私のスタンスは以前から変わらない。
「治安は悪化していない」し、
「治安は元々そんなに良くない」というものだ。

そして、一番注意が必要なのは知らない不審者ではなく、
「顔見知り」だという事。

友人、親自身、親戚、学校の先生、塾の先生等々。
残念だが統計的に言って疑いようのない事実だ。

しかし、今の小学校では「治安の悪化」を理由に、
「子供110番の家」「防犯パトロール」など
所謂「不審者対策」を中心とした新しい動きが始まっている。
この新しい動きには注意が必要だと思っている。

(要らないと言っている訳ではない。「空き巣」を減らすのには大変効果があると思っている)

なぜなら、この動きに迂闊に乗ると、
結果として我が子が犯罪の被害者になる惧れがあるからだ。

まず統計をよく調べれば分かる事だが、
日本の治安が悪化している確定的な資料はない。

唯一、マスコミがよく使う資料として、
警察庁発表の犯罪統計があり、
「1999年頃から刑法犯が倍増している」と言うものがある。

確かにそこらを境に急速に犯罪(の認知件数)が倍増している。
しかし、これをもって日本の治安が悪化しているとするのは完璧な間違いである。

これは「桶川ストーカー殺人事件」に端を発した、
警察の方針転換に依拠している。

犯罪相談窓口をつくり、被害者が訴えやすい環境を整えたからだ。
元々泣き寝入りをしていた人々(特に性犯罪の被害者)が、
相談しやすくなり、また、法改正もあり、
警察も動いてくれる(または動きやすい)ようになったためである。

その証拠に2003年頃からは刑法犯の総数は横ばい状態になっている。
また、ここ10年以上、殺人事件の総数は顕著に増えもしなければ減りもしていない。
大体1年間に1400件くらいをベースに100件くらいの増減を上下している。
(年により200件くらいの開きはあるが上昇していない)

ちなみにこの約1400件の中には、
凶悪殺人だけでなく、相当数の介護疲れによる殺人も含まれているのを忘れてはいけない。
こと殺人事件に関してだけ言えば、他国と比べ日本の治安状態は圧倒的に良い。

私が一番問題だと思っているのは、
子供が被害者になる犯罪についてだ。
特に性犯罪は性質上、発覚しても表沙汰になっていないケースや、
表面化しない、つまり潜行したまま長期化しているケースが相当数ある。

不審者・変質者による、子供が被害者の殺人事件は、
新聞やテレビで大々的に報道され人目を引く。
そして大変ショッキングな内容である。
怒りも覚える。

そうして我々親は現在のような防犯パトロールだのPTAの会議だのに引っ張り出される。
要注意だ。

よく考えて欲しい。
自分の子供が変質者にさらわれ殺される確率は、
統計的に100万分の1以下くらいになる。
(この数字は解釈によって相当上下する。イギリスでは500万分の1と言う説もある。
いずれにせよ宝くじ的に小さい事は間違いない)
従って不審者対策に時間を割くのは危険だ。

むしろ「小学生以下は出来るだけ単独にさせない」という、
そういう姿勢が大切だと思っている。

防犯パトロールに親だけで出掛けるのは禁物だ。
出来るだけ子供と一緒の時間を1分でも多く取ってあげる、
この姿勢が大切だと思っている。

そして、子供の毎日の表情・言動に注意を払う。

小林某のようないきなり誘拐し殺害すると言う手口はむしろ稀で、
「顔見知りが常習的に子供を襲う」方が遙かに危険で現実性がある。
特に学校の友達関係は要チェックである。

まあ、当たり前と言えば当たり前の事だと思うが、
ショッキングな事件が報道されると、
自分も含め、つい変な方向へ走ってしまうが、
やはり「常日頃からの子供とのコミュニケーション」、
これに勝る防犯は無いと考えている。