「なぜリベラルは敗け続けるのか」岡田憲治著 集英社インターナショナル
結論:この本はリベラルな考え方をする人には絶対的にお薦めします。
しかし右もしくは保守の人も現在のリベラルが抱えている本質的な欠陥が露呈されているため、
読んでおいた方がいいと思います。
超読書家の同級生がSNSで紹介してくれて、
これはかなり読み易そうだと思ったので一気に読んでみた。
≪やっと現れてきたか≫
これが私の感想となる。
著者の岡田憲治氏はバリバリのリベラルの人だ。
ようやく何故今のリベラルは国会の議席と言う、
最も大切な場面で大敗北を続けているのか?という理由と反省を非常に厳しい視点で書いている。
最近のリベラル系は一般人も議員も言動がメチャクチャであり、
政治的考え以前の問題で、支持政党を持たない大多数の人達から、
実は蛇蝎の如く嫌われている現実に気付きもしないで、
罵詈雑言を繰り返している。
私自身は保守で、さらに言うと極右に属する政治的志向を持っているが、
余りにもリベラル系の言動が酷く、事実、国会ではもう3分の2以上が与党で占められている現状があり、
こうなると喜ばしいどころか恐くなっている。
一党による独裁的議席数では批判に晒されない法案が通過してしまい、
健全な民主主義の維持がかなり難しくなる。
これほど危険な事態はない。
当ブログではかなり以前から何度も何度も、
リベラル派はこのままだと危ないと書いては来ているが、
1日あたりのPVが1000くらいのブログなので当然効果がある訳はない。(苦笑)
この本の著者は現在のリベラル派が陥っていて、
当人達が全く気付けないでいる醜い欠点を見事に浮き彫りにしてくる。
分かり易く言えばこんな感じだ。
現在のリベラル派がSNSで発信し続けている内容は以下のようになる。
もちろん、同じリベラル派同士の小さな身内だけに公開範囲を限定しているのなら何ら問題はない。
だが公開で書いたり、必ずしもリベラルではない人にも限定公開していた場合、
右派はもちろんのこと、中道の人達はリベラル派の言動を以下のように捉えてしまう現実がある。
・オレ様は頭がいい
・オレ様は金もあるし学歴もあるし地位もある
・そんなオレ様が考えているこの政治的意見は絶対に正しい
・オレ様の意見に反対するヤツは全員バカだ
・与党に投票するヤツ、安倍総理を支持するヤツは救いようがないバカだ
・「日本国紀」を読むヤツはバカを通り越して犯罪者だ。焚書せよ
・日本国民はバカだ。バカの大集団だ。
(・バカを粛清せよ ←これは私の勝手な追記だが、冗談で書いているのではない。かつての東側では普通に行われていた悲劇だ)
そんな事はないっ!!と怒るリベラルも多いとは思う。
だが少なくとも、安倍総理とその支持者をバカ呼ばわりして非常に口汚く罵るのはよく目にする。
最近では国民のレベルが低いと言う意見もやたらと目にする。
この本でもその種の事実に触れている。
こういう意見を聞いた時、
特に保守でもなく、リベラルでもない、
世の中の大半の人達はどう感じるのか?リベラル派は想像したことがあるのだろうか???
上記の言動に賛同する人が多いというのならば、
国会議員の議席数はもっと違った形になっているはずだ。
肝心要の部分においてリベラル派は大敗北を喫し続けている現実。
けれども、なまじ頭が良く、生活レベルも高い人達が多いため、
他人の気持ちに恐ろしく無頓着になれるのもリベラル派の特徴と言える。
自分に絶対の自信を持っているため恐ろしいまでに傲慢な発言となり、
はっきり言うと裏では嫌われてしまうのだが、
その自信過剰のせいで全く気付けないのである。
左に属する著者がこの視点で書いてきたとは驚きだ。
この本の中では繰り返し最も大切な事が書かれている。
≪友達が増やせない≫
これに尽きる。
何故増やせないのか???
面白いエピソードが載っているので、
要約してみた。
PKO反対のためのリベラル派の集会があった時、
大勢の若者も集まってくれたそうです。
そこで専門家の先生方が色々とスピーチをしたそうなのですが、
内容が全共闘時代は云々と過去の自慢話が多かったので、
ある若者が苦情を言ったそうなのです。
「僕たちには分からない。もっと今のPKOに関する話をしてもらいたい」と。
すると先生方はかなり困った表情をして、
「う~ん」と考え込んでしまったら、
同席していた評論家の先生がマイクを取り怒鳴り出したそうなのです。
「君は全く分かっていない!!過去の問題から今に繋がっているんだ!!
そういう歴史を無視した発言は勉強が足りないからだっ!!」
と言うように一喝してしまったといいます。
この会場では、実はこの若者が意見を言った時、拍手があったという。
つまり会場にいる若い人達は先生方の話を「退屈な過去の自慢話」と捉えていた。
これは明らかにスピーチする側に問題があると言わざるを得ない。
来ている人達に分かり易く、楽しくあるいは大切だと思わせて説明する必要があるからだ。
≪誰も聴いてくれないスピーチあるいは不快に思われるスピーチならしない方がいい≫
これは当たり前の話だが、
ことオレ様一番思想を持つ人達はそうは考えない。
「このオレ様の話している内容に苦情を言うとは何事か!!
オマエらがバカなんだっ!!」
と言う徹底的な自己擁護姿勢。
これに尽きるかと。
結果として、この会場の人達は評論家先生の怒鳴り声を聞いて何を思ったのか???
まともな神経を持った人達ならこう考える。
「何だコイツは?政治的意見云々以前の問題だ。
こんなヤツの言う事なんか二度と聞くもんか!!」
こうしてリベラルは友達をどんどん失くしていった、と。
これが現在の国会議員の数になって現れている、と。
さて、ここで極右だけど親切な私は(笑)、
この本を踏まえた上で、さらにリベラルが復活するための助言をしたい。
この本は秀逸だ。
特にいくつかのエピソードは素晴らしい。
リベラルがリベラルのために書いた本としては傑作と言ってもいい。
(私的には相容れない意見は多々ありますが)
しかし残念ながら≪友達を増やす≫ためには弱過ぎる。
何故ならこの種の本の販売部数はどう考えても、
仮にかなり売れたとしても1万部になるかならないかだからだ。
本が社会的に大きな影響力を及ぼすためには、
せめて5~10万部くらい売れないと話題にすらならない。
と言うよりもそもそもこの種の単行本はそんなに売れない。
幸いこの本は非常に上手く書かれいるから、
マンガ版を刊行すべきだ。
前述の素晴らしいエピソードはマンガのネタにした場合、
かなり感動的な内容のマンガが描ける。
優秀な編集者と漫画家を使って分かり易いマンガ版を刊行して、
単行本とセットで売った場合、
上手く描けばマンガなら10万部くらいは行くだろう。
こうなると社会的にかなりな影響が出て来る。
ちなみにリベラル派は絶対に認めたくないようだが、
百田尚樹「日本国紀」は異常に厚い単行本だが65万部以上売れている。
従ってその影響力はハンパないが、
相変わらず左の人達は「知らない」などと言う言動を繰り返し、
無視することで切り抜けようとしている。
あるいは執拗に口汚く罵るか。
≪友達を増やす≫を目指す場合、
今までのように同じリベラル同士でゴチャゴチャ言ってるだけではどうしようもない。
賛同してくれる可能性がある人は、むしろ非リベラル派の中に大勢いると考えるべきだ。
その人達に向かって「響く言葉」を発しない限り、
敗け続けるのだけは確かだ。
実際、リベラル派のここ何年もの敗け方はハンパない。
さて、間もなく選挙があります。
今までの余りにもお粗末なリベラル派の選挙対策。
この本を読んでもう少し上手に立ち回りなさいとつい言いたくなってしまいます。
終わり