オートバイの三ない運動について

オートバイ関連の記事を書いたらブログ友達からのコメントの中に「三ない運動」と言う、
非常に懐かしい言葉があったので改めて記事にしたいと思います。

「三ない運動」とは、念のためWikiでもチェックしましたが、
1970年代後半から1990年代にかけて大流行した≪社会運動≫です。

暴走族全盛時代でもあったため、
青少年を守る目的で大々的に推し進められました。

高校生のオートバイについて、
≪免許を取らせない≫≪買わせない≫≪運転させない≫
と言う三つの「ない」から「三ない運動」と呼ばれていました。

実に不思議な事なのですが、
これは≪日本政府は逆に反対していた≫と言う実状があります。

むしろ高校のPTAで強力に推し進められていたのですが、
政府は最後までこの運動に対して否定的だったのが非常に強く記憶に残っています。

オートバイの免許は法律的には16歳で取得できますが、
校則により「免許を取ったら退学」「乗っているのが分かったら退学」とする高校が続出しました。

首都圏では私的な印象では特に神奈川県が酷かったと記憶しています。

当時高校生だった私は都民でもあったので神奈川県の高校生を可哀想に思っていました。

ただし都内の高校でも私立高校の場合は三ない運動に乗っかっていた学校もありました。

この運動は「運動」ではありましたが、
「校則」へと進化したため、高校生にとっては実際の法律よりも厳しい内容だったと言えます。

法律で認められている免許を取得したら退学・・・・・

かなりおかしな状況だったと言えます。

このような社会現象は、日本の今後の法律を考えて行く上で非常に大切な教訓となっています。

結果的に三ない運動はどうなったのかと言いますと。

驚くべきことに≪高校生のオートバイによる事故の増加≫と言う悲惨な結果に終わりました。

特に悲惨で、この運動が急速に消滅して行くきっかけとなった事件があります。

・高校教師がオートバイを運転する生徒を見つけたため自動車で追跡したら死亡事故を起こした

生徒を守るはずだった「三ない運動」は逆に生徒を殺すことになった、と。

当初から政府は「交通教育の徹底をした方が効果的である」と主張し、
三ない運動に否定的な立場であり、以降、交通教育にシフトして現在に至っています。

ただ、私的には、自由になったお陰で現在の若者はオートバイや自動車に興味を失ってしまったのが何とも言えない皮肉だとも感じています。

そしてこの教訓は日本人の恐さと愚かさを見事に証明していると思います。

≪感情的になり直ぐに禁止したがる≫

統計的・理論的な効果を調べもしないで直ぐに禁止したがる考えは、
事態の悪化を招くと言う悪例の典型であったかと。

そんな事を思い出してしまいました。

終わり



余談:

昔、東大合格者数No.1の開成高校に通っている親戚がいました。

彼はオートバイに乗っていたので「三ない運動は大丈夫なのか?」と聞いたら、
「開成にはそんなのありませんよ!」と当時にこやかに言い切っていたのが面白かったです。