天文趣味とはほとんど成立しない悲しい趣味

天体観測が趣味ですと言うと、
ほとんどの人から「素敵な趣味をお持ちですね」と言ってもらえる。

特に女性の反応は抜群に良いように感じている。

だが、ほとんどの非天文趣味人は実態を知らない。

「天文趣味とはほとんど成立しない悲しい趣味である」と。

非天文趣味人は天気予報の「晴れ」の予報を見て、
「明日晴れで良かった」と言う。

しかし天文趣味人にとって「晴れ」は「晴れではない」。

気象の世界での「晴れ」は「雲量が2~8割」とされている。

つまり、空の8割が雲でも「晴れ」なのである。

ちなみに星空の広い範囲を撮影しようと思った場合(例えば天の川の撮影)、
雲量が3割くらいでもかなり痛い。

天文趣味人にとっては「快晴=雲量が1割以下」でないと、
少なくとも撮影には著しい支障が出てしまう訳だ。

よくよく考えてもらいたい。

明日は晴れです、と言う予報は非常に多いと思う。

しかし明日は快晴です、と言う予報は非常に少ないかと。

さらに、天文趣味は追い打ちをかけられる。

春の晴れた日を想像して頂きたい。

晴れているけど埃っぽくって良く見えない日って多いかと。

こういう日は「シーイングが悪い」と言われ、天体撮影には適さない。

さらにさらに、冬の関東地方の晴れて透き通っているけど風が強い日を想像して頂きたい。

こういう日は星を見てもチカチカと星が瞬いているかと思う。

それを「シンチレーションが悪い」と天文趣味人はいい、やはり天体撮影や観測には適さない。

まだある。

「月」。

これが出ていたら例え半月でも天の川の淡い光は消されてしまう。

従って月の無い夜、もしくは月が沈んだ後か上がる前でないとダメなのである。

まだまだある。

「光害」。

都会で綺麗な星空など絶対に見られない。

ちなみに都心の光は超強烈で最低でも100km以上離れる必要がある。

丹沢山塊でもまだダメ。

富士山くらいまで行かないと無理なのである。

そうして最後にダメ押し。

普通に働いている人が天体観測に行ける日は土日祝日と相場が決まっている。

つまり、上記を全て考慮すると。

快晴の日、シーイングの良い日、シンチレーションの良い日、月の無い日、山まで行く、土日祝日、となる。

これらが全て整えられる日。

1年365日のうちで如何に少なくなるか。

さらに特定の天文現象の場合は予め日時が分かっているケースも多い。

要するに前述した通り、天文趣味とはそもそもほとんど成立しない趣味と言っていい。

維持するには超強烈なモチベーションがいる。

そしてそのモチベーションを維持できるヤツ。

案外多いから驚く。(笑)

終わり



余談:

何故こんな事をくどくど書いたのかと言うと。

今日、仕事が終わったら富士山方面に行こうかと思っていた。

しかし「晴れ」の予報。

富士山のライブカメラで見ると・・・・・

少なくとも今私が見た限りにおいて。

天文趣味人的には「晴れではなかった」。

しかも天候は明日は悪化する、と。

はい、アウト。

月も直ぐに沈む、良さげな夜に思われたのだが・・・・・

(T0T)