「変えようのない音楽的嗜好とアダージョ」
人は20歳の頃に聴いていた音楽をそれから先の一生涯において好むようになり、
その嗜好は変えようがないと言う。
私にはその研究結果は正しいように感じている。
音楽を好む者なら誰しも自分の心の中の絶対的孤独領域において常に奏されている音階をもっているように思う。
私には間違いなく17世紀ヨーロッパの音楽だ。
たとえ国賊と罵られようとも私のこの音楽的嗜好は変えようがないように思う。
ただ、年齢を重ねると共に、穏やかなものを好むようになっている。
そしてこの音階はたとえ未知のものであっても私の聴覚に常に心地良さをもたらす。
音楽的嗜好とは越えられない壁を持ちながらも、
その壁の中では常に人の心を揺さぶり続けていると思う。