戦争が始まったら 5

スイス政府編纂の「民間防衛」を読むと、
日本の災害対策よりも遥かに遥かに高いレベルの食料の備蓄他が要求されているのに驚く。

「最低2週間分」

そして、
「2~3ヵ月分」の備蓄を、と。

永世中立国としての歴史が長いスイスは、
戦争が始まった場合、物流が一時的に数ヶ月停止すると見ている。

そのため国民に最終的には数ヵ月分の食料の備蓄を要求している点が凄い。

実際、東日本大震災の時、首都圏ではインフラの破壊など一切なかったにも関わらず、
物流が停止してしまい、回復におおよそ2週間かかった記憶がある。

敵軍が具体的に上陸して来なくても、
様々な理由から物流が停止する可能性は充分にある。

地震だけでなく、
今や戦争と言う状況も念頭に入れた対策が必要になっているのだと思う。

と言うよりも、これは当たり前のことなのかも知れない。

周囲を問題のある国に囲まれながらも、
米軍に依存して、その米軍基地を見ないようにして、
ただひたすら平和だけを叫び、現実を直視して来なかったツケなのかな、とも感じている。

ちなみに「民間防衛」では平和運動は利敵行為に通じると見做しているし、
敵に占領された場合のレジスタンスの組織にまでも言及している。

また、敵国は威勢の良いことだけでなく、
和平と言う甘言を盛んに用いて来て、
自国の転覆を図るのは常套手段である、とも。

それに乗せられる自国の一部マスコミにも注意をしろ、とも。

戦後民主主義観とはまるで異質の世界が展開しているのが、
永世中立を貫くスイスと言う恐ろしい国の実態でもあるかと。

今の私は、このスイス政府編纂の「民間防衛」こそが信頼に足る書だと思っている。