江戸っ子が好む表現方法(笑)

江戸っ子が非常に好む表現方法があります。

色々あるのですが、基本形があります。

現代の東京で最も華やかな場所である歌舞伎座を例に挙げます。

イヤホンガイドで聴いていたとします。

昔の最強の感覚だと、小山観翁氏の解説で始まります。

「さあ~、ここで花道から鳴り物入りで登場して来ましたのが、
 十二代目市川團十郎成田屋です。」と。

この瞬間、大向こうと呼ばれる掛け声が盛んに掛かります。

屋号を言います。

「なりたやっ!!」と。

が、江戸っ子の場合、こうは言いません。

「たやっ!!」と言います。

「なり」は発音しません。

江戸っ子の基本は短気です。

だから何でも短縮したがります。

歌舞伎でもそうなのです。(笑)

ちなみにもう少しヒネた野郎になりますと、
変化球を投入して来ます。

「たや~↑」と、何とも言えない粋な感じで。

気が短くて粋な振る舞いを好む。

これこそが江戸っ子の基本形です。

歌舞伎座や寄席、老舗の蕎麦屋などに未だに生息しているところが面白いです。

反対に連中が一番嫌うのは「野暮な振る舞い」です。

もし「野暮なマネをすんなよな」などと言われた場合、
それは最大の侮辱言葉です。

何が粋で何が野暮なのか。

これがまた、なかなか、ね。(笑)

終わり