東日本大震災から5年を迎えて

東日本大震災から5年が経ちました。

一昨日は池上彰氏の巨大地震に関する番組がありました。

今日はテレビでは色々な特集が組まれているかと思います。

犠牲者の方々のご冥福をお祈り申し上げます。

備えることをほとんどして来なかった日本人も、
さすがに東日本大震災以降はかなり深刻に考えて来ましたが、
5年経つと、直接的な被害を受けなかった地域では忘れてしまう人も多くなっているかと思います。

そこで改めてこの機会にどうすべきなのかを考えてみます。

災害対策をどうすべきなのか。

おそらくは間もなく起こるであろう首都圏直下型地震を中心に考えます。

当ブログにおきましては、
あまりマスコミが語らない別の視点で書いて行きたいと思います。

これは私的な体験から発せられるものです。

一言で言うなら「確率で考えよう」「割り算で考えよう」です。

無頓着な人というのはいつの時代にもいます。

そしてそういう人は「確率」や「割り算」の発想が欠如していると言う事実があります。

さらにその種の人に限って依存心が強いと言う事実もあります。

最初に典型的な実体験を書いておきます。

当ブログにおいては、私は2週間分の食料と飲料水を備えていて、
さらに1か月は何とかなる分くらいはある、と書いています。
(今は家族的な変化があり、かなり崩れていますが。苦笑)

燃料についても半年くらいは何とかなるくらいあります。

そういう事を、普段から備えていない人に言ってしまった経験が昔ありました。

すると「震災時はお邪魔させて頂きます」と実に無邪気に言って来たのです。

驚いてしまいました。

瓦礫の山をモノともせず、全てが止まった交通機関もモノともせず、
火災もモノともせず、20kmくらい離れていても歩いて来る???

そしてそれらを乗り越えて本当に来たら一体どうなるのか???

まるで考えていない思考停止の人と言えます。

ここで最初の非常に簡単な割り算をします。

家族4人分の2週間の食料の備蓄とは。

1日3食×4人×14日=168食

168食分が家族4人がひもじい思いをしないで食べて行ける2週間分となります。

ここへ「お邪魔者」が家族を引き連れて4人来たとします。

168食÷8人=21食

1人21食になります。

これはもちろん21÷3=7日で、1週間分になります。

半分になってしまう訳なのです。

これが依存者の恐い所です。

こんな単純な割り算が出来ないのです。

何となく2週間の備蓄=凄い備蓄と考えていて、
自分達が行っても2週間は大丈夫と脳天気に考えてしまいます。

では順を追って考えて行きます。

今、個人的に思っていることは、
基本装備は誰もが同じだけれども、
そこから先の災害対策は個人によってまるで違ってくる、と言う現実であります。

さらに自分の経済力、職業、居住区域、生活パターンや運によっても違って来るため、
臨機応変に対応する能力が問われているのでは?と。

そして段階的に考える必要がある、とも。

災害対策を考える時、特に東日本大震災以降、
人は直ぐに震度7や巨大な津波を想定してしまいます。

マスコミもこぞって震度7と巨大津波を放送します。

しかし、このような手法だと、逆に思考停止状態にさせてしまいます。

あんな揺れや津波が来たら終わりだ、備えようなどない、だから備えないとか、
あるいは海岸沿いではないから私は関係ない、
などと言う人すら出てきます。

しかし、現実の災害は全く違います。

段階的になっているのだと思うべきであります。

東日本大震災の時に震度7を記録したのはごくごく狭い地域一か所のみです。

後は震度6強以下です。

被害が大きかったのは未曽有の津波によりもたらされました。

最悪な事態の想定は絶対に必要です。

地震の場合は最強の揺れである震度7と巨大津波であるのは間違いありません。

けれども、それが起こる頻度と地域はごくごく限定的であると思うべきです。

この時の対応法は、池上氏の番組でもありましたが、
取り敢えず揺れが収まるまで身を守ることしか出来ません。

そして津波の危険がある地域ならば直ぐに高台に避難を開始するしか方法はありません。

つまり、揺れが始まってからの数時間は自分の命と近しい者の命を守ることで手一杯のはずです。

揺れや倒壊、火災から身を守り、津波の恐れがあったら即避難。

その間にもし他に助けられる人が助ける、と。

しかし問題は、助かってから後に発生します。

ここまでは誰もが一緒なのです。

そして、ここから人それぞれ大きく災害対策が変わってきてしまいます。

つまり生き残った後のことです。

・その地域の昔からの居住者なのか?単身赴任なのか?転勤族なのか?

・独身の1人暮らしなのか?家族がいるのか?

・男なのか?女なのか?

極端な話のようですが、実際にあった話を書いておきます。

誰もが大地震が起こると全員が避難所生活をすると思い込んでいるかと思います。

実際は違うのです。

具体例を挙げます。

阪神淡路大震災の時に、某大手企業の神戸の独身寮に入っていた若い男性の例です。

地震で寮が潰れた」と会社に連絡したところ、
「では京都の寮に空きがあるから直ぐに移動しなさい」と命ぜられ、
彼は、直ぐに京都に移動して普通に仕事を再開しています。

もう1つ、倒壊した家が多く、避難所で暮らす人が多い地域において。

耐震防火設計の家に暮らす金持ちの家ではにこやかに紅茶やビールを飲んで普通に暮らしている人もいました。

独身の1人暮らしの男の場合、災害時は失う物もあまりないし、
身近に家族でも暮らしていない限りは強者になります。

その地域が壊滅状態になってしまったら、
そこに留まる理由など全くないのです。

郷里に戻るか、会社にお願いするか、
ともかくさっさと別の地域に引っ越すことが出来る訳です。

実際に自分がそういう立場だったらそうするでしょうし、
それが当然の流れです。

これは無情な考えでも何でもありません。

食料や飲料水の温存と言う点においても、
避難所の人数は少なければ少ないほど良いのは言うまでもないからです。

ここで最初に挙げた「割り算の考え」が必要になって来ます。

1人の人が避難所にいると言うことは、
1日3食としたら1週間で21食、1か月で90食を必要とします。

これは何を意味するのか。

後で六本木ヒルズの例を出しますので簡単な割り算で考えてみて下さい。

次に、家族がいる人にとっては安否確認が非常に重要になります。

家族と散り散りになっていた場合。

どうやって通信して安否確認をするのか。

人は近しい者、つまり親や子の安否が分からないままだと災害に立ち向かう力すら出ません。

これは非常に由々しき問題であり切実な問題でもあります。

これは専門書が多く出ていますからそちらをお読みいただくとして、
個人的な体験から、スマホ以外にお年寄りの使う「簡単ケータイ」だとか「PHS」を持っておくことをお勧め致します。

私の父の場合、3.11当日に限って母と一緒に外出中でした。

父は簡単ケータイでしたが、
周波数帯が違うらしく、スマホの電話機能が使えなくなっている中、
普通に使用できました。

PHSを持っていた友人も同じことを言っています。

さて、ここで震災時に発せられる、
クソ意見について述べたいと思います。

クソ意見とはデマとは違います。

デマはこれまた専門書がありますし、テレビでも普通に放送されている事なので説明を割愛します。

問題はクソ意見なのです。

これは被災者は立場によって全然違うと言う事実を無視した、
妙な平等感と正義感がベースとなって発せられるものです。

東日本大震災の時に多く見られて、私的には憤慨していたケースの1つです。

典型的なのは、独身の男から発せられたクソ意見でした。

「主婦が食べ物やトイレットペーパーを買い漁るのを見ると浅ましいなと思う」と言った意見でした。

被災時はこの種の意見が多くまかり通っていました。

下手をするとマスコミまで乗せられてしまいますから要注意です。

ちなみにこの発言をしていた男はこうも言っていました。

「オレなんかトイレットペーパーなんか1ロールあったら1か月もつ」と。

当たり前です。

1人なんだから。

家庭を持つ主婦であるのなら、5人家族だとしたら「×5」になると言う発想が独身者には持てないのです。

これが被災時の品物不足と重なると「買い占め」「けしからん」となり、
主婦達に要らぬ罪悪感を植え付けてしまうのです。

災害や災害対策とは、不平等の塊であり、それぞれの立場によって展開が全然違って来ると言う事実に今一度目を向けるべきであるかと思うのです。

平等なのは同じ地域にいた場合なら揺れと続く津波だけです。

それ以降の長く続く被災者生活の展開は人それぞれまるで違って来るのだと知るべきであります。

では、どのように備えるべきなのでしょうか?

色々な情報が交錯しています。

様々な本を読んだり新聞や雑誌、テレビなどで知った知識と、
3.11の時の経験をベースに考えれば、
一番は耐震耐火設計の家に暮らし、職場環境もそのような場所であるのが一番です。

しかし、そんな人は稀です。

それこそ格差社会の見本となります。

けれども、先ほども書いたように震災とは段階的に起こるのです。

耐震設計は無理でも家具の倒壊防止措置ならば数百円で可能です。

震度7が起きる頻度は非常に少ないのです。

家の倒壊(震度7)対策も大切ですが、
それよりもずっと大きな頻度で起こる震度5強~6強の対策をすべきです。

つまり一番大切なのは家具の倒壊防止措置です。

安くても、いや、安いからこそ肝心要の一番大切な措置が取れると知るべきです。

いきなりコストのかかる震度7に対応させるのではなく、
先ずはより頻度の高い震度5強~6強までの措置を講じて行くべきなのは当たり前の方策だと思うべきでありましょう。

何故か多くのマスコミはこのような事を語りたがりません。

おそらくは、震度7とか大津波の方が視聴者ウケするからだと思われます。

首都圏では3.11の時、震度5強の揺れでしたが、交通機関の停止と大量の帰宅難民、
物流の停止と品不足、通信の不通等々でそれなりに大きなダメージを受けました。

最近、政府は今まで3日間の食料と飲料水を備蓄せよと主張して来ましたが、
当ブログでは何度も取り上げているスイス政府のように、
さらに備蓄をアップするように方針を転換しているようです。

「最低3日間、できたら1週間」

これが現在の政府が勧めている災害への備えの基本になっています。(出典:池上氏の番組より)

ちなみに防衛大国スイスでは最低2週間、1か月を推奨、さらに出来たら数か月となっています。

そのためのマニュアル本「民間防衛」が国民全てに配布されています。

東京都でも災害対策の本を無料で都民に配ったようですが、
読書率は極めて低いと池上氏の番組では放送していました。

私は3.11の時に、直接的な被害はほとんど無かった首都圏における物資の混乱を見て、
非常に驚いてしまいました。

コンビニやスーパーからアッと言う間に食料が消えてしまいました。

特に主食のお米とパンは2~3週間くらい品切れの状態が続いていたと記憶しています。

ガソリンもそうでした。

道路が寸断された訳でもないのにこの混乱でした。

私が非常に信頼している某作家兼ジャーナリストは、
首都圏で大地震が起こったらかなりの規模の食料難になるだろうと予想しています。

私もそう感じています。

住んでいる人の数が桁違いに多いので、
道路が寸断され物流が止まってしまったら、
一体どのくらいの人がひもじい思いをするのか。

ちょっと恐くなってしまいます。

先日も記事にしましたが、数字を考える上でとても大切なので再度書いておきたいと思います。

六本木ヒルズは災害対策が凄いと言われています。

実際に電気は自家発電していますし、耐震設計もされているし、
ヒルズに住んでいる人はもちろん、訪れている人のことまで考慮して、
「10万人分の食料と飲料水を備蓄」しています。

凄い数の備蓄です。

これだけあれば大丈夫だろうと多くの人は思うでしょう。

しかし、災害対策に関心を持たない人は簡単な割り算が出来ません。

何となく凄い数だから大丈夫だろうと言う安易な発想と依存心を発揮してきます。(苦笑)

では六本木ヒルズに住んでいる人と、昼間働いている人や訪問者はどれくらいいるのでしょうか?

はい、ネット情報が出典ですが、昼間人口は約5万人です。

来客移動人口は約30万人とも言われています。

簡単な割り算で判明するかと思います。

10万人分でも全然足りないんです。

これが首都圏の人口密度の恐さです。

首都圏に暮らす人はとても多く、場所的にも集中しています。

東京23区で約920万人。

横浜市で約370万人。

川崎市で約147万人。

さいたま市で約125万人。

千葉市で約96万人。

(出典は横浜市統計ポータルサイト

合計すると約1658万人です。

東京の市部や点在している近隣の市は含めていません。

おそらくそれらを含めると2000万人を超えてくると想定できます。

この数はどれだけのものなのか。

いずれにしても、首都圏の食料は膨大な数のトラック輸送により維持されています。

つまり自動車による物流です。

これがストップしてしまった場合。

一体どうなってしまうのでしょうか。

それが3.11の時に証明されてしまいました。

3.11の時にさしたる被害のなかった首都圏ですが、
それでも物流が2~3週間、滞ってしまいました。

先ほども述べましたように、主食の米、パン以外にも、
電池やガソリンの入手が出来なくなってしまいました。

ちなみに防衛大国のスイスを参考にしたいと思います。

何故、最低2週間で、1か月を推奨し、出来たら数か月と言っているのでしょうか。

それは戦争で物流が途絶えた時を想定しているからです。

寸断された物流を回復させるのに永世中立国のスイスは1~2か月かかると考えているのです。

従って災害大国の日本であるのなら、やはりこれくらいは備えたいところではあります。

各家庭で2週間分の食料と飲料水を最低でも備える、と。

それと移動手段の確立です。

可能ならば、自動車とオートバイもしくはスクーターを所持しておくと良いと思っております。

もちろん、地震直後では大渋滞が起きますから自動車は移動手段としては全く役に立ちません。

しかしシェルターとしては絶大な威力を発揮してくれます。

これは東日本大震災だけでなく新潟中越地震などでも証明されています。

オートバイやスクーターが有効なのは今や常識的になっています。

3.11の時に、帰宅難民になり、途中で寒さと飢えで動けなくなった弟を、
超大渋滞する自動車の列をすり抜けてスクーターで迎えに行った私の友人の話を書きました。

また、もし食料や飲料水、燃料が売り切れになってしまっても、
スクーターなら100kmくらい離れた場所に買いに行くのも可能です。

荷物を沢山載せることもできます。

移動手段の確保はとても重要であると私は思っております。

これも段階的に考えて5段階に考えるべきです。

電車、バス、タクシーなどの公共交通機関→自動車→オートバイ・スクーター→自転車→徒歩

普段から体を鍛えて体力をつけておくのは非常に大切でありますが、
被災とは長期戦です。

体力は出来るだけ温存しておくのが鉄則でもあります。

移動とはエネルギー消費の最たるものです。

歩かなくて済むならそれに越したことはないと知っておくべきでありましょう。

とは言え、20~30km歩いてもビクともしない体力の構築は絶対に必要であるかと思っております。

さて、色々と書いて来ましたが、
ここでまとめたいと思います。

・確率論で考える→いきなり大きな対策をしようとするのではなく、小さな事から始める

・割り算で考える→備蓄されている量とそこにいる人数を正確に把握して考える

・通信手段の確保→スマホ以外に簡単ケータイもしくはPHSの所持を

・移動手段の確保→自動車、オートバイもしくはスクーター、自転車の所持を

・体力の確保→20~30kmは平気で歩ける体力を

終わり



余談:

首都圏直下型地震が来たら、時間によっては再び凄い数の人が帰宅難民となるでしょう。

結果として、本番の時には歩いて帰る以外に方法はなくなります。

時間が経過すればするほど、3.11の時とは違ってどんどん不利になって行くと思うべきです。

何故なら、そう簡単に交通機関は回復しないからです。

3.11の時の首都圏は道路の崩壊や線路の寸断など全くなかったのです。

だから翌日には交通機関は回復しています。

しかし、本番は違います。

数か月単位でかかると思っておいた方がいいです。

待っていても絶対に直ぐに回復はしません。

夏場や冬場だった場合、待っていても酷く体力を消耗するだけです。

一刻も早く、しかし安全に、自宅に帰る必要が生じます。

その時に有効になって来るのは当然装備です。

外出する時は、先ずは歩き易い靴が必要です。

ハイヒールや革靴は役立たずです。

しかし、ビジネスではしょうがありません。

私の場合は仕方なく革靴ですが、せめてと、ハッシュパピーにしています。

プライベートの外出時にはスニーカーなのは言うまでもありません。

他に、飲料水とカロリーメイトなどの簡単な食料、
ラジオ、スマホなどの充電池、懐中電灯、地図などは最低限の装備だと思っております。

カバンはリュックにもなるタイプをお勧めします。



余談2:

スマホは多機能です。

1つで多くの機能を持っています。

通信手段として考えた場合でも、
電波は4G、3G、Wi-Fiが使用できます。

携帯電話機能、メール機能、SMSメール機能、
LINEのメッセージ、LINEの電話機能、LINEのテレビ電話機能、
ツイッターフェイスブック、ブログ、スカイプ
災害時伝言板、等々が用意されています。

地図やナビ機能もあります。

情報収集手段としては、
テレビやラジオ、新聞、ネットニュースも見ることができます。

スマホを使えるのか使えないのかは、
今後の災害対策として決定的に違って来ると言えます。

旧式の情報手段と比較すると、スマホは桁違いのポテンシャルを有しています。

災害対策の観点からもスマホの所持の優先順位は非常に高いと思います。