我が子が成人式を迎えたことにより、
過去を見直してみると考え込んでしまうことがある。
それは子供が習い事を止めたいと言い出された時の話となる。
そもそも子供が生まれて3~4歳になれば、
習い事を開始させる親は非常に多いと思う。
大抵の場合は親自身が好きな分野となる。
小さな子供に自主性を期待させるのは絶対におかしい。
だから親がやっていた事ややりたかった事を子供に薦めてやらせるのは普通の成り行きとなる。
これ自身は全く間違っていない。
むしろ小学生までの子供の教育に対して、
「親は子供の背中をちょっと押してやる事しかできない」
などと妙にリベラルな教育方針を言ってくる方がおかしいと思っている。
最初は上手に強制的にやらせるくらいでちょうどいいと思う。
まあ、親自身の教育方針は人それぞれではあるが、
あくまでも当記事における方針は、
勉強メイン、趣味は趣味と言うスタンスの方針であることにご注意を。
例えば、芸術家の家系で子供は当然芸術家になどという方々は含まれない。
習い事は趣味ではあるが、大きく分けて2種類、学業系とスポーツ系になるかと思う。
欲を言えば、学業系とスポーツ系は、
頭脳作りと体力作りを考えた場合、2つやらせてみるのがベストと感じている。
私の場合、選択したのはピアノと水泳だった。
結果的に中学受験をしたので、
水泳は5~6年生くらいの時に辞めた。
ピアノは止めずに続けていたのだが。
しかし中学生になった時に止めると言い出されてしまった。
実はこの時、親的には凄いショックを受けてしまった。
もちろん、ピアニストになって欲しいなどとは考えてはいなかったが、
親の趣味的には非常に入れ込んでいる世界でもあり、
娘も当然好きでやっているという思い込みがあったからだ。
そして優れた聴覚と記憶力を娘は持っているため、
それなりにピアノはメキメキと上達していたから、
余計に私は続けて欲しいと言う欲目があって、
結果的に問題を先送りにしてしまった。
しかし、これは間違いだったと思う。
日本の最高学府に行った同級生と教育の話になった時、
「子供は12歳を過ぎた時(思春期)、一旦リセットされる」
と言う非常に興味深い事を語っていた。
それまで積み重ねて来たことを子供はいとも簡単に捨て去ることが出来るのだ、と。
そこから先をどうするのか?と言うのは子供自身にかかってくる、とも。
ここにおいて、初めて親は子供の肩をちょっと押すことくらいしか出来ないのだ、と思い知る。
子供が習い事を止めたいと言い出した時は、
それは既に終わっているのだと親は思い知るべきだと今の私は考えている。
少なくとも興味は失っている。
そしてもしかしたら別の新しい事をやりたがっているケースもある。
さらにその分野は親にとっては全く興味の対象外の世界だったりする。
娘の場合はまさしくそうだった。
これを知った時のショックは想像以上に大きいと思っておくべきだ。
だが、これはどうすることも出来ない。
思春期を迎えた子供を再び元の軌道に乗せることは困難を極めるし、
やった場合、取り返しのつかないことになるかも知れないと思い知るべきだ。
結果的に娘はあっさりとピアノを止めて、
晴れ晴れとした感じで新しく興味を持った分野に生き生きとして突入していった。
今の私はこう思っている。
もちろん、娘のこの行動は今でも苦々しく感じているのが正直な気持ちではあるが、
もし、私が強制的にピアノを続けさせていたらどうなっていたのだろうか?と。
間違いなく、親子の信頼関係に大きなヒビが入っていたと思う。
誰だって興味を失ったことをやりたいとは思わない。
自分のやりたいことをやりたいと願うのは当然だ。
しかも、習い事とは趣味の分野なのである。
何を躊躇うことがあるのだろうか。
迷わずに決断を下し、進んで行かねばならない世界なのである。
そして、それが普通の子供であるのなら。
学業が一番優先されるのは言うまでもない。
趣味は趣味なのだ、と親は自覚しておくべきであろう。
たとえ子供の選んだ趣味が親の趣味と一致していなくても。
今まで積み重ねて来た事をあっさりと捨て去ったとしても。
それが思春期なのだと思い、諦め、受け入れるしか親の選択肢は無いのである。
終わり