不倫の恋

※ 本日アップした記事に加筆したものを再度アップし直しました。

「不倫の恋」

昨夜、録画してあったテレビの音楽番組を見ていたらベートーベンがやたらと出て来ていた。

ベートーベンの音楽は熱く、人の心を異様に高揚させると思う。

ベートーベンは当時から大変人気がありお葬式には2万人が集まったと言う記録まであるそうだ。

つまり今で言うスーパースターだった。

しかし生涯を独身で通した。

何故なのか。

どうやら不倫の恋をしていたらしい、と。

死後、ラブレターが見つかっている。

音楽と同様、熱い熱いラブレターが。

夫と子供がいる女性を深く愛していたことが分かっている。

ベートーベンはその女性に対して音楽を贈っているらしい事も分かって来ている。

ベートーベンのシンフォニーはたった1つを除いて全て誰かのために書かれている。

そして1つだけ誰にも献呈されていないシンフォニーがある。

それが8番だ。

交響曲第8番。ヘ長調。作品93。

その女性をどう思っていたのか。

こういう事実を知ってしまうと、

8番の聴き方が変わって来てしまう。

いずれにしても。

ベートーベンは余りにも人間臭い作曲家であり、
理想家であり情熱家でもあったと感じてしまう。

バッハの音楽は神の世界。

モーツァルトの音楽は悪魔の世界。

ベートーベンの音楽はあくまでも人間であり続ける。

泥臭い理想。

いい加減うんざりするほどの不器用さ。

しつこさ。

「美」や「洗練」からは程遠い。

しかし、その根底には人間や人生に対して決して絶望しない姿勢を曲から感じる。

たとえ生涯実らないことが分かっている不倫の恋にすらも、
この第8番を聴くと決して絶望などしていない事が分かる。

むしろ明るくユーモラスですらあり、
人生って素晴らしいじゃないか!?と語りかけて来るように思う。

ベートーベンのシンフォニーは3、5、6、7、9番がとても有名だが、第8番。

素敵だな、と思った。

終わり