単身赴任

昨夜、NHKのクローズアップ現代を見て「あ~やっと今頃」と感じた。

単身赴任についてNHKがやっと取り上げた、と。

何年か前に私は記事にした事があるかとは思う。

私達日本の職業の一部には転勤が当たり前のようにある。

そして転勤を命じられた者は、その時々の家族形態によっては「単身赴任」を選択し、
家族とは離れ離れの生活をしてしまう。

実のところ、これは企業からの命令を拒否出来ない、
もしくは非常に拒否し難い制度と言う点において諸外国とは悪い意味でかなり違っている。

特に単身赴任は家族を破壊してしまう。

極めて非人道的な制度とも言えるが、
経済が右肩上がりの時代においては無視されて来た。

また、戦う事を好まない優しい性質の日本人は、
実質上、命令されるがままに非人道的な企業からの扱いに黙々と従って来た。

これにより、家族との会話の途絶やあるいは不倫により、
根本から崩壊してしまった家庭は非常に多い。

昨日の単身赴任者の本音は極めて切実で、
精神的に追い詰められている人もかなりいた。

以前にも記事にしたイギリス人の例を再度挙げてみよう。

これは実話だ。

ソニーがイギリスに進出して、非常に優秀なイギリス人の若者に「栄転」を命じた時。

その若者はソニーの盛田社長(当時)に、
「出来ましたら、私をこのままこの地区の責任者で留めて下さい」と言われた。

そしてその理由・・・・・

「自宅の薔薇園を残して行くのが忍びないので出来ません」と。

日本人とは違う異国の、そして異文化の地であるため、
もちろんその申し出を受けた盛田。

それからしばらくして、その若者と盛田が自動車で移動中の時。

「この近くに私の家があるので寄ってみませんか?」と誘われた。

するとその素晴らしい薔薇園に感嘆した盛田。

「あ~君がかつて栄転を拒否した理由がやっと分かったよ」と。

これは素敵な話として書かれていた。

しかし、日本企業の日本人の転勤はそんな生易しい実態ではない。

もっともっと悲惨で、しかし誰もが当たり前のように思っている転勤制度。

ようやく(一部の)企業は変わり始めている。

本当に非人道的な制度である事にもっともっと気付かないとならない。

仕事は確かに大切だ。

しかし、何のために働いているのか???

よく古いタイプの男は言う。

「オマエ達(家族)を食わして行くためにオレは働いている」と。

しかし、単身赴任は時にその家族を根本から破壊してしまう事実に気付いていない。

本末転倒してしまうのである。

日本はもうかつてのようなイケイケの経済状態ではない。

生活の質を根本から見直すべき時が来ていると私は思う。

今までは当たり前のように受け入れて来た仕組みが実は極めて非人道的であったのだ、と。

多くの給料をもらいバリバリ働けるかつてのような労働環境は稀なのである。

転勤、単身赴任、残業、サービス残業(ただ働きの強制)、休日出勤、挙句に過労死。

この労働環境の改善が無い限り、日本人の幸福は有り得ないと私は感じている。

NHK、よくぞ取り上げた、と。

終わり