断捨離について

先ほど、外回りの途中で書店を覗いてみたら断捨離についてのマンガ入門書があったので少しだけ立ち読みしてみた。

非常に驚いた。

私はともかく部屋を散らかす方なので、整理整頓は大切だと思っているし、
要らない物は思い切って捨ててすっきりする感覚も理解出来る。

しかし、だ。

その本には断捨離された理想の部屋の写真が載っていた。

これは酷い。

相当酷い。

人間のタイプが違うと言うレベルの問題では無かった。

その理想とする部屋。

広々とした居間にオシャレなテーブル以外、何も無かった。

台所には・・・恐ろしいまでに衛生的に整理されたオシャレな皿が少しだけ見えない戸棚に入れられていた。

料理した形跡すら見えない台所だった。

本当に、何も無い空間・・・・・

あ、大きなテレビが壁に掛けてあったか・・・・・

正直、こういう部屋に住む人間・・・魅力のひとかけらも無いんだろうな、と思ってしまった。

一体何がしたいのか???

おそらくやりたい事が無いタイプなのかな???と。

人間には3つのタイプがあると言われている。

・パワー動機(勝ち負けに拘るタイプ)

・達成動機(強固な目的を持つタイプ)

・親和動機(人と仲良くしたいタイプ)

もちろん、3つのそれぞれは人間である以上、ある一定のレベルは持っているはずだが、
時折その1つだけを突出して持ってしまうタイプがいる。

断捨離を徹底的に出来てしまうタイプはおそらく、
パワー動機もしくは親和動機だけが非常に強い人なのだと思う。

達成動機の人にはここまで徹底的な断捨離は絶対無理なのである。

ちなみに私は達成動機が非常に強いタイプだ。

例えば初めて人の家に招かれて行ったとする。

私はその家にある「物」を観察する。

一体この人は何に価値を見出している人なのか?を詳細に探る。

どんな本を読んでいるのか???

どんな音楽をどんなオーディオで聴いているのか???

どんな絵が飾られているのか???

どんな趣味を持っているのか???

何も私に限らず、大抵の人はこうやって会話の接点を見つけて、
面白い「物」を見つけたら楽しいおしゃべりに花を咲かせると思う。

例えばデジタル一眼レフカメラがおいてあったら、
「あ、この人、見かけによらず写真が好きなんだ。
 だからフェイスブックの写真がいつも素敵だったんだ」とか思う。

本棚にさり気なくフランツ・カフカ全集があったら、
「えっ!!この人、実存主義に傾倒している???」
などと驚くし。(笑)

しかし、今日見た断捨離の部屋には本もCDもカメラも、
本当に何も無かった。

楽しいのだろうか???

全てを捨ててしまって楽しい???

私は達成動機が非常に強い。

特に好きなのは天体観測と釣りと音楽(バッハ)だ。

部屋には巨大な天体望遠鏡やカメラ、顕微鏡、釣竿やギターやCD、そして本で溢れている。

整理はしたいと思うが断捨離するつもりは全く無い。

人生を楽しむには「物」が必要だと私は思っているから。

ただ星を眺めているだけではイヤだ。

天体望遠鏡やカメラを使って写真を撮るのが好きだ。

本で天文の事を深く深く知って行きたいとも思う。

それをブログアップしたりして楽しんでいる。

音楽においては凄まじい数のCDを所有している。

バッハの教会カンタータ(CD62枚組)を生涯かけてじっくり聴こうと思っているし。

他にも聴きたいCDは非常に沢山ある。

断捨離???

信じられない。

整理整頓された部屋は良いと思う。

しかし、何も無い部屋は・・・無知・無教養・非楽しみ・・・

これらを思い切り曝け出しているように思える。

人間が住んでいる空間には見えない。

ショールームかなんかに見えた。

おそらくは宗教的な感覚もあるのかも知れないが、
人間を余りにも綺麗な存在に近づけようとする思想は危険だ。

本で見た写真(本当にテーブルと壁に掛けた大きなテレビしか無い)が断捨離の理想だとすると。

信じられない愚行に思える。

終わり