春のバロック・コンサート~トリオ・ソナタの愉しみ~

春のバロック・コンサート~トリオ・ソナタの愉しみ~

2013年4月29日(月・昭和の日)

荻窪教会



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↑会場風景



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チェンバロ全景&近景






プログラム前半


2本のリコーダーのためのトリオ・ソナタ ヘ長調 HWV405

Allegro/Grave/Allegro



ジョン・ルイエ

リコーダーとオーボエ通奏低音のためのトリオ・ソナタ ヘ長調 作品2-2

Largo/Allegro/Largo/Allegro




リコーダー、オーボエヴィオラ・ダ・ガンバの協奏曲 ト短調 RV103

Allegro ma cantabile/Largo/Allegro non molto



休憩20分



後半

オルグ・フィリップ・テレマン

2本のリコーダーのためのトリオ・ソナタ ハ長調 TWV42:C1

Grave-VivaceAndante/Xantippe/Lucretia/Corinna/Clelia/Dido



オルグ・フィリップ・テレマン

リコーダーとオーボエ通奏低音のためのトリオ・ソナタ ハ短調 TWV42;C2

Largo/VivaceAndante/Allegro



2本のリコーダーのためのトリオ・ソナタ 変ロ長調 BWV1039

Adagio/Allegro ma non presto/Adagio e piano/Presto


さて、昨日は非常に慌ただしい1日となった。

メインのイベントは超久しぶりのコンサート。

ともかく普段はコンサートに行ける生活体制ではない。

この日もうるさい娘をなだめるために午前中はデパートに。

直ぐに家に戻り、午後2時スタートのコンサートに間に合わせるため、
東横線の特急に飛び乗る。

特急、速いっ!!

アッと言う間に新宿三丁目駅に到着し、丸ノ内線に乗り換え荻窪へ。

昨年は嵐の中で開催されたバロック・コンサート。

今回は非常に良い天気に恵まれて荻窪教会内の座席は満員御礼。

幸い早い時間に着いたので先ずは座席を選んだ。

昨年は後ろの座席にしてしまったら、チェンバロソナタさんに、
「この会場は前の席の方が良い」とのアドバイスを頂いたため、
最前列左サイドに座った。

この席からだとソナタさんの運指とヴィオラ・ダ・ガンバの運指、
及びガンバの低音弦の響きがモロに伝わってくる場所と判断したから。

個人的にガンバの低音域、ゾクゾクする。

はい、この場所、大当たりだったかと。

さて、このコンサート、昨年に続いて面白い仕掛けがあると思った。

最初はヘンデルから無難なスタートを。

そして次は・・・・・

昨年はオトテールの作品が演奏された。

オトテール・・・余程のバロック音楽好きじゃないと先ずは知らない作曲家であろう。

しかしこれがまた大変良い曲だった。

今年は「ジョン・ルイエ」・・・・・

知っている人の方が少ないように感じる。

正直、私は初めて聴いた。

そしてこれがまた良かったりする。

Largo/Allegro/Largo/Allegro と、緩急がはっきりした曲。

また、通奏低音の動きが何となく私的にはバッハっぽくて興味深かった。

プログラム全体の構成も長調長調短調 休憩 長調短調長調となっている。

最後は明るくバッハの長調で〆ようと言う感覚が伺われた。

そして今回、非常に素晴らしいと感じた事がある。

それは「呼応」だ。

私達現代人は録音技術を発達させ、優れたオーディオ機器を使用し生と変わらない演奏を楽しめたり、
あるいはiPodやウォークマンで何時でもどこでも音楽を楽しめるようになっている。

これは、一世時代前には有り得ない事である。

繰り返し簡単に音楽を聴けるようになったため、
私達現代人の聴者としてのレベルは当時の人とは比べようもないくらい発達しているはずだ。

だが、しかし。

前回も少し記事にしたが、今回はよりはっきりと感じた。

音楽とは、音符だけで構成されていない、と。

それは「呼応」だ。

これだけは如何なる優れたオーディオも絶対に敵わない。

また、楽譜だけを眺めていても分からない。

奏者同士がかわす視線。譜面をめくる音。息遣い・・・・・

それらが混然一体となって音楽とは構成されている、と。

顕著に感じた曲は前半の最終曲のヴィバルディ。

Allegro ma cantabile の中で、チェンバロとガンバが単音で低音を奏でる。

それに「呼応」してリコーダーとバロックオーボエが掛け合いをする。

音楽とは「生きているんだ」と思い知らされる。

この楽しさは、残念ながら録音からでは知る由もない。

実際にコンサート会場に足を運んで、間近に奏者を見ない限り分からない。

終曲のAllegro non moltoのオーボエの速い動きにもしびれた。

ヴィヴァルディ、非常に良かったかと。

さて、後半。

これが凄かった。

私は普段、バッハを専門に聴いているので、
一応テレマン作品のCDもあるにはあるが滅多に聴かない。

が、テレマンがまさかこんなに素敵だったとは・・・・・

後半最初の「2本のリコーダーのためのトリオ・ソナタ ハ長調 TWV42:C1」

緩急が非常にはっきりした曲で、2本のリコーダーとガンバ・チェンバロの呼応が実に素晴らしかった。

そして極めつけは、
「リコーダーとオーボエ通奏低音のためのトリオ・ソナタ ハ短調 TWV42;C2」

特にAndanteが泣けるようなオーボエの旋律でゆったりと。

そして終曲のAllegroは非常に速く激しい。

これには凄くしびれた。

これぞバロック、と。

来ているお客さんもとても興奮していたのが分かった。

いやはやいやはや・・・・・

この曲の素晴らしさは、次のバッハが霞んでしまうほどの良さだったかと。

今回はソナタさんの新チェンバロが導入されたコンサートでもあった。

前回とは明らかに響きが違っていた。

ソナタさんに聞いたら、観客の多さにも原因があるはず、と。

それにしても「これぞチェンバロ!!」と言う音だった。

また、ガンバの激しい動きと低音の響き・・・・・

これは本当に良い。

あ~ゾクゾクしたぁ~♪♪

そして最後に。

やっぱりバロックオーボエ

短調でゆったりした旋律を奏でられると。

泣きそうになってしまう。

それほど、良い。


これらが合わさったトリオ・ソナタ

そして「呼応」。

音楽の楽しさの基本を改めて感じさせてくれたコンサートだった。

とても良い1日となった。

終わり



参考演奏: