茶の湯と美術館の仕掛け

今日、根津美術館(東京・南青山)に行って感じた事がある。

茶道と深い関わりのある美術館の展示には要注意、と。

私は残念ながら茶道の素養がない。

従って学校で茶道の基本を叩き込まれた娘と一緒に茶席に行くと、
私の作法はメチャクチャらしく、よく娘に叱られてしまう。(苦笑)

それはともかくとして。
(^。^;)

若い頃から美術館には行っていたが、
本格的に娘と一緒に行き始めてからは間もなく6年目に突入する。

洋の東西を問わず、東京・横浜の美術展のほとんどを観て来た。

他の追随を許さないほどに。(笑)

最近分かって来たのだが、茶の湯の世界はクセモノだ、と。

非常に凝った仕掛けがある。

根津美術館や畠山記念館(東京・白金台)などは特に要注意。(笑)

根津美術館に行くと特別展は1階で開催され、
2階は常設展示になるが季節毎に内容を変えて来る展示室がある。

茶道系の展示だ。

2階一番奥の展示室。

今回は「花見月の茶」と言う季節のお茶会のための展示だった。

最初の展示物は茶碗だった。

何故か小さな鍋島の茶碗と瓢箪型の焼き物。

瓢箪の方は見た瞬間、直感的に龍泉窯だと分かった。

独特の青のような緑のような典型的な龍泉窯の逸品。

しかし意味が分からなかった。

何故、カラフルな鍋島と並べる?と。

釈然としないまま通り過ぎた。

しかし展示室を出る間際にハタと気付いてもう一度見た。

分かった!!

鍋島と龍泉窯の後ろに展示してあった掛け軸と対になっていた事に!!

掛け軸の左下には蛙が、右上には花が描かれていた。

派手な鍋島は花を。

龍泉窯の瓢箪は・・・蛙!!(@_@)

これは私が勝手に感じた事だ。

もしかしたら根津美術館側の意図とは違うのかも知れない。

しかし娘(美術鑑賞に特殊能力あり)に訊いてみると。

「あ~気付いてたよ。多分瓢箪は蛙を表しているんだなって。
それにしてもあの龍泉窯の色。
凄く綺麗だった。」と。
(@_@)

ともかく。

茶道系美術館の展示会は。

心して行くように。(笑)

鑑賞者側に様々な仕掛けがなされている。

それを読み解く事は。

無上の喜びであり、また「風流」の真髄でもあるかと。

終わり


余談:
以前、畠山記念館の茶席に参加した時、
茶室に入る前、何故か屋根の上に菖蒲が置いてあるのに気付いた。

後から説明して頂いたが、季節の邪除けだそうだ。

帰りには客人に菖蒲を配っていた。

美味しいお茶にお菓子。

見事な掛け軸と茶碗。

花鳥風月の真髄。

おもてなしの心。

日本の美は茶の湯に全てが凝縮されている。