鰻屋の粋な江戸弁

方言の事を書いていたら粋な江戸弁の事を思い出した。

大変失礼な事を書いてしまうが、
この粋な江戸弁を聞き分けられるのは今や極少数だと思う。

東京には標準語、山手言葉、下町言葉がある。

もちろん、若者の喋る言葉もあるが・・・・・

しかし、昔の年寄りの喋る「粋な江戸弁」と言うのがある。

これは・・・個人的に聞いていて一番好きな言葉だ。

現在は滅多な事では聞く事は出来ない。

私の知る限りでは齢90を過ぎた友人のお婆ちゃん。

日本橋生まれのチャキチャキの江戸っ子。

彼女の話す言葉・・・もう堪らないくらい素敵だ。

さて、そんなある日の事。

私は久しぶりに銀座の竹葉亭へ行って昼食を食べた。

美味い鰻に舌鼓を打っていると、
隣の老紳士2人の会話が耳にすんなりと入ってきた。

「なんだねぇ~・・・アイツはよぅ~○×△□・・・」

この独特のテンポ、節回し、発音、ニュアンス・・・紛れもない、粋な江戸弁だ。

久しぶりに聞いた純粋な江戸弁。

これは山手言葉とも下町言葉とも違う。

そう、全てが「粋」なのである。

少し嬉しくなって竹葉亭を後にした。

終わり