ハードネゴシエイター・タフネゴシエイター

私も含め、一般的な日本人は「議論」が出来ない。

特に、ディベートの素養が決定的に欠如しているので、
論理的思考が出来る者は極めて少ない。

留学経験のある者や、正式に欧米の教育プログラムに触れた者のみが、
その世界を知る。

日本人同士で喋り合っている限り、
酷い言い方であるが、
高尚な事を喋っているつもりでも、
論理性を欠いた「単なるダベり」であるケースが多い。

それ故、感情に流され易い。

そして声のデカい者の意見が通ると言う間抜けな事態に陥り易い。

従って集団になると腐敗を起こし易い欠点も併せ持つ。

「論理性」を重視しない憐れな野蛮人として、
時に同じ日本人を見下してしまう事すらある。

すみません、声のデカいバカが権力を持ち、
その団体に嫌な目に遭わされた事があるもので・・・・・

論理性を重視しない日本人とその文化。
この部分を私は非常に嫌っている。
何故なら、先ほど書いたように「腐敗の構造」を生むから。

欧米にももちろん腐敗はある。
しかし、大切な会議などで、下の者は発言しにくい『雰囲気』や、
『KY』などと言う愚かな単語が罷り通る国に暮らしている事を忘れてはイケない。

雰囲気に呑まれる国民。ソレが日本人だ。
これは欠点である。決して美徳ではない。


かつて、友人で非常に口の達者なヤツがいた。
大抵の周りの日本人は男も女も敵わなかった。

そんな彼にイギリス人の彼女ができた。
アチラの某有名大学の才媛である。

生まれて初めて、ディベーターの凄さを見せつけられた。

日本人を相手にする時は、非常に狡猾に論点をずらしたり、
感情的な煽りを駆使したりして、
一方的な議論を進める彼が、
赤子の手をひねるが如く、徹底的に、コテンパンに打ちのめされていた。


毛利元貞と言う元傭兵で、
現在は警察の指導などをしている人物がいる。

軍事力や護身術・逮捕術を極めた彼が、
最終的に行き着いたのは「ネゴシエイター」・・・

犯罪現場などで犯人を説得する「交渉人」である。

ようやく日本でも注目されつつあるが、
この世界はディベーターすら遙かに上回る。

このネゴシエイターの達人に接した瞬間、
毛利氏は「嗚呼、この人には何をやっても勝てない」と言う、
ある種の「気」を感じたそうである。
何もかも包み込んでしまうような・・・・・

交渉をする場面において、
強面で声高に主張する者が出てきた時よりも、
遙かにタフネゴシエイターの方が怖い。

実は、かつて、裁判所の調停の場面で、
1人だけいた。
非常に手強いし、恐ろしい。

こういう男が日本にもいたんだ、と逆に安心もしたが。

相手が平気で嘘をつくヤツならソフィストに過ぎないが、
ハードネゴシエイターを前にした時は、
「真実」「誠実」「論理」「ディベート能力」
全力でぶつからない限り・・・・・厳しい。


余談:一般的に日本人は無口な方が好まれる。
   沢山喋る者は軽蔑される傾向がある。
   日本人同士でヤンチャをしている限りでは、
   勝手にしていれば良いと思うが、
   一歩、海外に行った途端、
   全く通用しない。
   
   言葉を駆使して正確に相手に意志を伝える事を疎かにしてはいけない。
   ソレが現在の私の心境である。