少し前に書いたプレイボーイの友人の、
究極のキザ自慢話しである。
彼はギターが得意だった。
ロックからクラッシックまでジャンルを問わず。
イギリス人の彼女と一緒にイギリスへ行き、
彼女の家で何ヶ月か暮らしていた。
彼女は某最大級世界企業のイギリス支社長の娘。
住んでいたのはロンドンから車で2時間くらいの、
郊外の「お城」。(←重要文化財らしく、外装を勝手に変えてはいけない建物)
そんなある日、上流階級の彼女の友人達が何人も泊りがけで遊びに来た。
「バイオリン君」と呼ばれる友人は、
パガニーニやらバッハを目の前で超絶的に弾きこなす。
また、皆で高度な文化論を戦わす。
それはそれは一般的日本人からすると凄まじい世界だったそうだ。
3日くらい経つと、さすがに疲れてしまい、
彼はたった一人で中庭に行った。
月明かりが射し込み、イギリス郊外の風景とマッチした、
幻想的な空間が目の前に広がっていた。
彼は一人でギターを弾き始めた。
曲はエンリケ・グラナドス作曲「スペイン舞曲第5番アンダルーサ」。
難解なハーモニックスの技巧も完璧にキマり、
自分でも見事なくらいの演奏が出来たそうだ。
演奏が終わり、ふと気付くと、いつの間にか友人達が全員、
少し離れた場所から見つめていたそうだ。
拍手は無い。
ただあるのは溜め息だけ。
「どうだっ?どうだっ?」とその友人は自慢する。
これさえなきゃ良いヤツなのに。
(><)