映画「しゃべれども しゃべれども」


2007年 日本


東京生まれで東京育ちの者が東京の魅力を語ろうとするなら何をどう薦めるだろうか?

ビルの谷間を駆け抜ける高速道路を見下ろしながらの星付きレストランでフレンチ?

はたまたクラブでのオシャレな遊び?

しかし映画では浅草、上野、新宿、隼町がいきなり登場する。

この映画、東京の寄席好きが観たら相当驚くと思う。

嘘だろ?と言うくらいの寄席が勢揃い。

浅草演芸ホール、上野鈴本演芸場新宿末廣亭国立演芸場、さらに超マニアックな深川江戸資料館まで登場。

しかしここまで映しておいて何故、池袋演芸場が出てない?と疑問はあるが、
それはともかくとして。

東京の下町を中心として、売れない二ツ目の落語家が各寄席を舞台に妙なストーリーが展開する。

そして小気味良いくらい断定してくる。

東京人のグルメは蕎麦。

東京人の楽しみは「ほおずき市」。

東京人の笑いは寄席。

東京人の川は隅田川

選択肢はこれしかない、と言うほど徹底している。(笑)

然り気無く細部まで凝りに凝ってると思う。

また、国分太一さんが後半かなりの時間、落語「火焔太鼓」を演じる。

それが結構な演技で面白かったりする。

「火焔太鼓」は私が幼い頃、父から半強制的に古今亭志ん生のレコードを聴かされて子供心に面白いな~と思っていた噺。

実際に生で聴いたのは割と最近で、
偶然催されていた「たばしお寄席」で、
古今亭志ん橋師匠だった。

フルに演じてくれて実に1時間近く。

古今亭志ん生古今亭志ん朝直系の方だったので感動的だった。

そう言えば無類の落語好きだった亡き父がこの映画について何かを語っていた記憶がある。

しかし内容を忘れている。

私的には江戸落語好きには堪らないと思う。