落語・漫才 vs イギリスのコメディ

時に極右的な考えをする私は、
ややもすると日本文化最強だと徹底的に誇示したくなる衝動に駆られることもあります。

しかしながら、昔から唯一、欧米のヤツらには敵わないと、
非常に強いコンプレックスと共に、諦めにも似た心境に陥る分野があります。

それは「お笑い」の世界です。

ジョーク、ユーモア、エスプリ等々。

ヤツら欧米人が仕掛けてくるお笑いの世界は日本人のそれを遥かに凌駕しています、残念ながら。

さて、最近の当ブログをお読み頂いている皆さまにおかれましては、
古典芸能記事が連発されていて、
もうかつてのバカ話記事はほぼ皆無となっているのに辟易されているかと思います。(笑)

それほど現在の私は能・歌舞伎・文楽・落語と言った日本の古典芸能にハマっております。

昔の私は欧米文化、特にヨーロッパ古典音楽の超愛好家でありました。

今でもそうではありますが、
少なくともお笑いの世界においては、
現在の私は完全に日本の落語や漫才、狂言などに親しんでいるため、
「日本人の笑いの世界」しか知らない状態になっていました。

ところが私の妹は長い間イギリスで暮らしていた体験があり、
最近になって妙に懐かしいのか、
ヨーロッパ映画など自分が借りたものを強制的に私にも貸してきて、
無理矢理視聴させられています。(笑)

先日、妹はメチャクチャ好きなイギリスのコメディーを中古で見つけたため、
それを購入して私に課して、いや、貸してきました。(笑)

「エキストラ」と言う作品です。

イギリスの国営放送であるBBCが作ったものです。

つまり日本で言うところのNHKです。

知らない人は国営放送であるならば、BBCはお堅いのでは?と想像するでしょう。

全く違います。

「信じられないくらい過激」なのです。

このコメディーの内容は、世界的に有名な俳優や女優を登場させて(もちろん本物)、
日本人の感覚だと「放送禁止用語を連発」させるものです。

ファンは絶対に見てはいけません、と注意書きがあるほど強烈な内容に仕上がっています。

イギリス人の手加減のないジョーク感覚は、
日本人の想像を遥かに超えています。

これをお茶の間で流していたのか!?と腰を抜かすのは間違いありません。

例えば映画「タイタニック」の主演女優が出て来て、
「テレホンセックスの時のセリフはねぇ~こうヤるの。
 私の〇×コは△□×で、アンタの△×コで激しく腰を云々~」
などとサラ~ッと言わせてみたり、
あるいは、
「アカデミー主演女優賞を取るには〇×△(障害のある人を指す言葉)を演じれば手っ取り早いんだよね。」とか。(大苦笑)

もう徹底的な人間のクズを見事に好演してきます。(笑)

エロネタ、人種差別ネタ、身障者差別ネタ、宗教差別ネタ、貧富差別ネタ等々、
人間のあらゆる「業」が総出演と言った感じです。(苦笑)

それも全く手加減なしで攻めて来ます。

日本のテレビのお笑いの世界だけに慣れていると、
寄席通いを始めた時、テレビでは絶対に言えないお笑いと言う存在に気付きます。

それは日本人にとってはかなり過激なネタであり、
寄席に来ている客の一定のパーセンテージで不快感を抱く人がいると思われるほどの内容なのですが。

はっきり言って、イギリスのソレは日本の寄席の笑いでも比較にならないくらい過激です。

元々、落語の世界でも故立川談志は「落語とは人間の業の肯定だ」と言っていますが、
その故立川談志ですらも生前「エキストラ」をもし見ていたら眉をひそめていただろうと思われるほどです。

日本では絶対に笑えない、笑ってはいけない分野の人を登場させて、
そこで会話をさせて、恐ろしく気まずい雰囲気を演出してきます。

見ていると、日本の作品だと先ず感じない「感情移入」がエキストラでは直ぐに始まり、
もう有り得ないほどの、笑いと言うよりは、悲劇感に打ちのめされてしまうのであります。

具体例をちょとだけ挙げておきます。

脳性麻痺の女性がこちらに歩いて来る様子を見ていて、
それを隣の気になっている見知らぬ女性との会話のきっかけとして、
「何?あの歩き方?」と茶化したら「あれは私の妹です」と言われ・・・・・

その気まずさたるや。

あるいはホモの男性にしつこく誘われている男性が、
とうとう有り得ない誘われ方をして大爆発する様子、とか。

極め付けはハリーポッターの主人公役の男の子が(もちろん本物。当人)、
超マザコンのエロガキとして撮影現場に登場して、
コンドームをぶんぶん振り回しながら周囲の女性達を徹底的に口説き回るシーンとか。

その振り回していたコンドームをうっかり離して飛ばしてしまい、
それがイギリスの大女優(もちろん本物)の頭の上に乗っかってしまうシーンとか。

ファンなら卒倒しかねないシーンの連続です。(笑)

イギリスの「国営放送」はここまでヤるのです。

LGBT差別、人種差別、身障者差別。

この分野に普通に切り込んできます。

残念ながら日本人にはとても扱えるお笑いではありません。

白旗を揚げて降参するより他に手段はなさそうです。(笑)

終わり