パリジャンのパリを描く ルイジ・ロワール(Luigi Loir)

先日、東京都美術館(上野)で開催されている「プーシキン美術館展」に行った時、
個人的にとても好みの作品に出会った。

ルイジ・ロワール(Luigi Loir 1845~1916)

≪パリジャンのパリを描く≫と言う説明が書いてあった。

それほど知られていない画家ではあるが、
今になってからじわじわと人気が出てきているらしい。

今回の展示会では以下の作品が来ていた。

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≪パリ環状鉄道の煙(パリ郊外)≫
Smoke on the Paris Circuit Line (Paris Suburb)
1885年 油彩、カンヴァス 172×296cm

この作品は巨大でとても目をひいていた。

圧倒的だった。

印象派のタッチでありながらも独自の写実的表現をしている。

そして思う。

こういうのがパリジャンの視点によるパリの絵なのかな?と。

他にもどんな作品があるのか調べてみた。

すると以前、別の展示会でも≪夜明けのパリ≫と言う作品を観たことがあり、
とても印象に残っていたら、それもロワールの作品だったと知って驚いてしまった。

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ルイジ・ロワール≪夜明けのパリ≫ 1880年後半ー1890年前半

以前、大阪のお笑い芸人である小藪千豊氏が、
「東京について偉そうに語るヤツが結構いて『小藪さん、東京ってのはね』と言ってくる。
 しかし、よくよく聞くと住み始めて5年くらいだったりして腹立たしい。
 オマエのようなヤツの話なんか聞きたくない。
 生まれ育ちが東京のヤツの話こそ聞きたい。」と言っていた。

この感覚、非常に良く理解できる。

まあ、そうは言っても例えばパリの場合ならば、
住み始めて5年くらいの日本人の話は役には立つと思うが、
ワクワク感はまるで感じないだろう。

やっぱりパリジャンやパリジェンヌの視点こそがカッコいい。

旅行者や外国人、田舎の人の視点ではなく、
パリ生まれパリ育ちの、パリを日常と捉える視点。

そんな絵が美術展にあると私はシビれまくってしまう。

ルイジ・ロワールの描くパリは日常の何気ない風景だが、
多くの観光客にとっては憧れの街であるパリ。

全く気負わない、朝の光景や環状道路の感じ。

美しいとか素晴らしいとかではない。

カッコいいんだ、と私は思う。

パリはカッコいいんだよ、と。

そこで日常を過ごしている連中の様子。

夜のカフェテラス。普段のセーヌ川。地下鉄。

それこそが見たいもの、感じたいものなのだ、と。

ルイジ・ロワールの絵。

これからはフランス絵画展に行ったら探してしまうだろう。

終わり



参考:ルイジ・ロワールの他の作品

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↑≪ポルトドレの回転木馬≫↑



イメージ 4
↑≪グラン・ブールヴァール≫↑



イメージ 5
↑≪A street fair on the banks of the seine≫↑



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↑≪Porte st martin at christmas time in paris≫↑



イメージ 7
↑≪Underground Railway≫↑



イメージ 8
↑≪The Night Cafe≫↑