ストーカーからの攻撃コメントはブロックしてはいけない?

一昨日、Yahoo!ニュースを見ていたら大変興味深い記事があったので読んでみた。

それはストーカー対策専門の民間団体の人の意見だった。

芸能活動をしていた女子大生がストーカーに刺されて意識不明の状態になった事件についておおよそ以下のように説明していた。

「ストーカーからの攻撃的なコメントやメールはブロックしてはならない」

「この事件の直接的なきっかけはSNSをブロックしたことにある」

要するに犯人側に逃げ場というか会話の糸口を持たせていた方が安全であると言う主張だった。

犯人は絶対にブロックされても仕方ない発言を繰り返しているが、
それでも心の中では相手と繋がっていたいと望んでいるから切ってはならない、と。

犯人を追い込むことになるから、と。

なるほど、と読んでいて頷いたのだが、次の記述を見て驚き呆れてしまった。

何と記述が無かったからだ。

そこで終わっていた。

先日私はこの事件について記事にした時、
戦後民主主義的な考えが事件を悪化させる」と書いた。

・みんな仲良く話せば分かる

・人間は平等

・いざとなれば誰かがきっと守ってくれるはず

ストーカー事件に関して言えばこの3つに集約される、と。

上記のような「切ってはならない」とする考え方。

これは無責任なその種の考え方(戦後民主主義)を持った介入者がよく言う主張だ。

この主張は事件の本質をまるで見ていない。

つまり攻撃なコメントの内容についてまるで他人事なのである。

執拗な攻撃的なコメントは被害者の精神を相当追い詰めてしまう。

もう限界まで追い詰められたからこそ警察に相談に行った訳だ。

あくまでも私的な意見であるが、
このケースの場合「切ってはならない」と主張する人にも、
被害者の側にも共通した考えが見られる。

それは戦後民主主義の大原則の1つ「みんな仲良く話せば分かる」にある。

これはもっと分かり易く言うと「戦えない」に帰結する。

私達日本人はこの戦後民主主義の浸透と共に、
軍事的なことはおろか、犯罪に対しても戦えなくなってしまっている。

この精神が加害者側を増長させてしまう。

もちろん安易な戦いは厳禁だ。

避けられるものなら避けるべきである。

しかしこのケースの場合、もう限界点にまで達していたのは間違いない。

明らかな付きまとい行為と明らかな攻撃的意志をほのめかせる執拗なコメント。

もう殺すのか殺されないのかという究極の事態にまでなっていた。

そして事実そうなってしまった。

なるほど、SNSをブロックしなければもしかしたらその場は防げていたのかも知れない。

しかし防げていたという確証は何一つない。

犯人は既に武器を用意していた事実を見逃してはならない。

はっきり言えるのは、もう確実に殺人事件に発展する可能性が十分にあったと言う犯人の言動だ。

このケースの場合、被害者は女性なので、
事態はより深刻で緊急を要していたと言える。

早い段階で家族や親戚、親しい友達、弁護士、警察、民間の警備会社など、
出来る手段を全て使って守りと反撃の2つを行なっているべきだったと言える。

反撃とは、何も犯人に先制攻撃を仕掛ける訳ではない。

しかし、先制攻撃を仕掛けても構わない状況にさせる必要があった。

一番良いのは警察の介入だ。

警察官が直接犯人を早い段階で呼び出すなり職質をかけるなりして行動を制約させるべきだった。

あるいはそれが無理なら民間の専門の交渉担当者(弁護士もしくは専門の団体の人)を接触させるべきだった。

最後は父親や親しい男友達などの接触だ。
(この場合、いきなり暴力事件に発展する可能性が非常に高いが、
 警察が動いてくれない以上、やむを得ない行動だ)

つまり、分かり易く言えば、俺達が守っているし、オマエが下手な動きをしたら痛い目に遭わせるぞと警告する必要があった。

戦後民主主義的な考えをする者はこのような行動に対して反感を抱くだろうが、
結局のところ暴力事件への警察の介入とは犯人に対する暴力的な牽制であるのは間違いない。

殺人や傷害事件に対抗するためにはそれを抑えられる暴力が必要なのは冷徹な事実となる。

それが警察なのか、民間の専門家なのか、親なのか友達なのかはともかく、
オマエの好き勝手にはさせないと言う明確な暴力的な戦いの姿勢を見せる必要がある。

それがストーカー他、暴力事件の解決のための基本姿勢となる。

最終的な覚悟があるのか無いのか。

そこが問われてしまう。

私の意見としては、上記のようにともかく警察他、色々な人を介入させて、
防衛と反撃の2つを実行する。

従って当然、SNSは放置もしくはブロックの必要がある。

事態を悪化させるかも知れないが、それ以上の侮辱を許してはならない。

どこかで明確な戦いを決意する必要がある。

それが防犯だ。

これは明らかに命のやり取りをする緊急事態なのだと言う認識がなくてはならない。

ストーカーとはそれほど危険な存在であり、
そんなのにまとわりつかれながら日常生活が普通に送れると思う方がおかしい。

攻撃者に対しては防御と反撃。

これが基本であり、防御だけでは絶対に事件は解決などしない。

それが当たり前の事実だ。

終わり