西麻布「大華」の餃子について

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今から40年以上も昔のこと。

西麻布の交差点を広尾方向に進み一つ目の信号を右折。

すると正面に当時は牛鳴坂(うしなきざか)と呼ばれていた坂が見える。

現在は牛坂(うしざか)と表記されているが。

その坂を上る手前の小さな四つ角の左側に「大華(たいか)」と言うこれまた小さな中華料理屋があった。

ここの料理には餃子にとても特徴があった。

それは後に日本一ではと言われた「大陸(新宿)」の肉系の餃子とは全く違う、
野菜系の餃子だった。

私と妹にとって、餃子の味の原形は「大華」の餃子となる。

野菜類を恐ろしく細かく刻んで、もはやクリーミィーと言えるほどになっていた。

この餃子の味、現在でも時折ある。

滅多にないけど未だにたまに体験するので、
おそらくは餃子の多々ある種類のうちの1つなのだと思う。

そしてたまにこの味に出会うと。

私と妹はほぼ同時に「大華の味だ!!」と叫ぶ。

とっくの昔に大華はなくなっている。

けれども、味は残っているのが嬉しい。

終わり



余談:
   牛坂の手前の小さな四つ角のことを昔は「笄橋(こうがいばし)」と呼んでいたそうだが、
   私は当時、聞いたことがなかった。
   最近知った。
   
   また、現在は牛坂と表記されているが、当時そこを牛坂と呼んでいる人を見たためしがない。
   ある日突然、役所が来て坂道に票を立ててそれには牛坂と書いてあって驚いたのをよく覚えている。



余談2:

  今まで食べてきた餃子の中で一番美味しかったのは間違いなく「大陸(新宿)」の餃子だ。

  この餃子は群を抜いている。
  
  大陸は昔、歌舞伎町の裏道にあって満州帰りのオヤジが1人でやっていた店だった。

  「通」の間では超有名だったらしい。

  代々木ゼミナールの、当時は漢文の先生(現校長?)だった多久先生が語っていた。

  「日本でたった1軒だけ、本物の餃子を食べさせる店があります。

   新宿の裏道にあります。

   凄く混雑していて、お店に迷惑になるから名前は教えません。
  
   皆さんは餃子と言えば焼き餃子が普通だと思っているでしょうけど、違います。

   本当の餃子は蒸し餃子か水餃子と呼ばれるものなのです。

   焼き餃子とは、召使達がご主人様の残した餃子を温め直して食べていたもので、
   決して美味しいものではないのです。

   その新宿のお店では水餃子と蒸し餃子が基本なんです。

   味は1種類しかありません。

   とても美味しいのです。

   それこそが本物の餃子なんです。」と。

   その通りだと思っている。

   そして「大陸」も今はもうない。