落語と寄席

あれは今から軽く40年以上昔のこと。

江戸っ子で大の落語好きだった父はまだ小学生だった私を連れて何度か寄席に行った。

それがどこの寄席なのか、あるいはホールだったのかは全く覚えていない。

非常に良く覚えているのは、子供には場違いな所だろう?と言う妙な違和感と、
何をやっているのか全く分からないけれど楽しい場所?と言った感じだった。

そして1人だけ鮮明に覚えている落語家がいる。

柳家小さん(五代目)だ。

彼は最後に出て来たと記憶している。

出て来た途端、何とも言えない不思議なオーラを感じた。

これはとても面白い人だ、と。

もちろん、小学生の私には何と言う演目をやったのかさえ分からなかった。

ただただ、彼のもつ天性の面白さ(ふら?)のようなものを感じた。

そして随分と笑った記憶がある。

不思議なものだ。

父の生前は随分と反感をもっていたが、
亡くなった今、寄席に行ってみてぇ~な、と思うようになっている。

終わり