映画:めぐり逢わせのお弁当

イメージ 1


映画:めぐり逢わせのお弁当

これはインドのムンバイを舞台にしたインド映画です。

個人的な感想から言いますと、
非常に驚きました。

まさかここまで良質のインド映画があったとは!!と言った感じです。

私的には最後まで全く飽きる事なく楽しめました。

感覚的にはヨーロッパ映画に近いと思います。

人間の本質をえぐり出して来るような作品です。

従ってハリウッド映画に慣れている人には理解の範疇にないかも知れません。

その意味で賛否両論になるかも。

それはさておき。

インドにはお弁当を職場に運ぶサービスが確立していて、
そのシステムは世界的にも最高度の完璧さを誇っていると、
以前ビジネス雑誌で読んだ事を思い出しました。

その精度は600万分の1のミスしかない、ほぼ完璧なシステムだ、と。

主人公の女性は毎日お弁当を夫のために作る料理上手の素敵な人です。

しかし、夫は料理に関心を持たない冷めた男です。

それでも彼女は料理こそが愛とばかりに一生懸命美味しいお弁当を作ります。

ダッパーと呼ばれるインドのお弁当箱が大活躍します。

先日私が東京国立博物館のインドの仏展で買った素敵なお弁当箱です。(笑)

しかし、このお弁当箱が600万分の1の確率をすり抜けて、
定年近くの妻に死なれた男の職場に間違って運ばれます。

美味しいお弁当に感激する老いた男。

2人は間違いに気付いてからも、
お弁当箱に手紙を入れて文通を始めます。

主人公の女性の夫は浮気をしているらしく、
主人公の男の方は、妻に死なれた後は孤独な生活となり、
2人は会わぬまま共感して行きます。

そして・・・と言うストーリーです。

この映画を観て私が一番感じたのは、
「食」と「愛」は極めて近いのでは?と言う感覚です。

逆もまた真なりで、「食」がダメなら「愛」もダメとなります。

マンガ「美味しんぼ」に「愛ある朝食」と言う回があります。

後に主人公の妻となる女性が、食事対決の場で最強の朝食を出して来ます。

それはなんの変哲もないパンとバターでしたが、
審査員達は余りの美味しさに驚愕します。

それは作り立てのバターとパンでした。

結果的に女性が勝利します。

理由は愛ある朝食だから、でした。

愛する人のために食事を作る喜び。

これがある限り、私達の未来は明るいのだ、と。

映画では、孤独な男が隣の家をさり気なく覗くシーンが出てきます。

子供達が笑い、母親が食事を勧める賑やかな食卓。

愛に溢れるシーン。

主人公の男は逆に孤独を感じます。

また、愛が失われた主人公の女性の食卓は素敵な料理を前にしても冷たい空気に支配されています。

美味しい料理を作っても愛がなければ悲惨な状況に成り下がります。

この映画の結末は分からないまま終わってしまいます。

希望があるような、ないような。

この辺の感覚もヨーロッパ映画に似ています。

ヨーロッパ映画が好きな人には絶対的にお勧めします。

ハリウッド映画が好きな人にはお勧めしません。(笑)

そんな感じの映画でした。

終わり