大惨事の「蟯虫検査(ギョウチュウケンサ)」

小学校時代、「蟯虫検査」は恐怖であった。

キューピーちゃんがお尻を突き出して、
セロハンを肛門につけている説明の、
例の検査である。

検査後、しばらくして、
「○○君、△×さん、保健室へ来て下さい。」
などと言われようものなら、
大変な惨事となった。
(^0^;

幸い、私は呼ばれた事は無かったが、
余りの恐怖のため、
当時持っていた子供用顕微鏡で事前に検査したほどだった。

一見、何も付いてないようなセロハンであったが、
顕微鏡で見ると色々付着しており、
興味をそそられた・・・(^0^;

さて、私は家が汲み取り式トイレであったがため、
随分と「お上品な」家庭の子から、
イジメ?を受けてきた。

そう大したイジメではなかったが、
周りが全部水洗式だったがために、
結構傷ついた・・・(T0T)

そして、心の奥底では「お上品」な者や物に反感を抱いていた。
そんなある日、
「お上品」を木っ端微塵に粉砕する大事件が小学校で発生した。

そう、「蟯虫検査」である。

クラスに、とても可愛く、お上品で、お金持ちの女の子、○△さんがいた。
もちろん、クラス内では男子のアイドルであった。

そう、あの日(蟯虫検査の結果発表の日)までは・・・

担任の先生の怖ろしく無神経な一言から始まった。
「え~と、この間の蟯虫検査の結果だけど~、
 このクラスにはいなかったと思うんだけど・・・
 あ、一人いたっけ。○△さんだったかな?」

途端に号泣、突っ伏す○△さん・・・
騒然となった教室・・・

そして、休み時間。
今までのアイドルではなかった。
もう、先生の一言の瞬間、

「クラスのアイドル」→「汚い寄生虫女」

と成り下がってしまった。

私は愕然とした。
たった数mmの蟯虫にこんなパワーがあったなんて・・・

人間の尊厳をここまで木っ端微塵に粉砕するものはそうはあるまい・・・

恐るべしっ!!「寄生虫」!!

そして、その休み時間、彼女を遠巻きにして(最早決して近付かない)、
クラスの攻撃的な男子が、
「こら~っ!!蟯虫!!動くな~っ!!」
と、暴言の限りを尽くした。

帰りの反省会の時、
彼女はもう涙も出なくなった目で訴えた。
「ううう~、みんなが、蟯虫、蟯虫って呼ぶのを止めて下さい~、ううう~」

しかし、止まない怒号・・・
「うるせ~っ!!感染ったらどうするんだ~っ!!蟯虫!!蟯虫!!蟯虫!!」

それはそれは悲惨な反省会だった。

これには後日談がある。
なんと、数日後、先生の勘違いだった事が判明した。
彼女は無実だったのだ・・・

しかし、時すでに遅し・・・

嗚呼、恐怖の寄生虫・・・(T0T)